これってパワハラってヤツなんじゃないんですか?

 

「……これを着るの……?」
「文句なんて言える立場かよぃ」
「や、どう考えてもでかくない?」


手渡された服を目にした瞬間、
思った事を口にしてしまったわけなんですけど、
これ確実にあんたの服なんじゃないの?とまでは流石に言えなかった。
まぁ、中にキャミソールを着て、
紐か何かで長さは調節したら着れなくもないだろうけど……
ほら、まぁ。


「何かお泊まり時のカップルみたいじゃない?」
「返せよぃ」
「だってさぁ!」


入れ替わり立ち替わりに衣類を持って来るクルー達が
悪いんじゃないかと思うわけですよ、こちらとしては!
何て言うの?えぇっと、これ……踊り子の衣装?
で、こっちは、う~ん……服って言うか布、だよね……。
いや確かに文句を言える立場じゃないんだけど、
よりいっそう露出が酷くなってどうするのよ。
あたし弱点晒しすぎじゃない?
言いたい事は相変わらず山ほどあるけど、
ともあれ、シャツを羽織ってみた。うん、でっけえ。


「わぁ、マルコおっきぃ」
「……(コイツ、うっかり死なねぇかな……)」
「ていうか、普通に着替えてごめんね」
「!!」


耳まで赤くしながら物凄い勢いでドアを閉めたマルコを見送る。
……何てからかいがいのある人なんだろう……。


「とっとと着替えろぃ!」
「はーい」


人の服を着るのはいつ振りだろう、何て事を考えてしまったものだから、
案の定思い出してしまい、無駄に苛つく。
キャミソールの上にマルコのシャツを着、腰骨の辺りに紐を巻いて調節。
……何だか、ガーリー系の服みたい……、
ていうかワンピースだよね(色んな意味で)。下、下は何を……
素足はどうなの?それこそリアルにお泊ま……


「早くしろぃ!」


うぅわ、超びっくりした!何アレ、やっぱりエスパーじゃない?
えぇーどうしよう、あの調子じゃ(マルコ)もし、
あたしがこの恰好で出て行くでしょ?で、マルコの側にいるわけでしょ?
多分、十中八九冷やかされるでしょ?
……ぶち切れるんじゃね?勘弁してよねー。
あ!そういえばさっきの衣装の中にレギンスっぽいのがなかったっけ?
アレでよくね?で、もう髪はまとめて、早くシャワー浴びたい……。


「遅ぇよぃ」
「どう?何か、らしくなった?」
「らしい、って何がだよぃ」
「いや、ほら。何て言うの?海賊?」


言った瞬間、結構強めに頭を叩かれたわけなんですが、
これってパワハラってヤツなんじゃないんですか?

何か、次の話に進むまでが長いよね。
そうして、マルコの服を着てみる、という
びっくりする妄想の回、でした。