いっその事、都合のいい女にでもなりましょうか

 

何となく流れに沿ってるわけなんですけど、
あたし白ひげ海賊団の仲間入り?
うわぁ、何このリクルート!ある種、上場企業?
何に上場するのかは分かりませんけど!


「何だよぃ、その面」
「えっ、何その問いかけ」


心の中が透けたのかと思い、少しだけ驚いた。
いや、嬉しいとか嬉しくないとかじゃなくて、微妙…
というか、トントン拍子に話が進みすぎて実感が湧かないんだろうな。
ていうかこれ夢じゃないの?まだこの疑問は抱いたままいきますよ。


「や、マルコの部下とか嬉しすぎるって思って」
「ぬかせよぃ」
「嬉しい癖に」
「……」


言葉を詰まらせるマルコを見ながら、
一体何をする事になるんだろうと考えていれば、
出来る事がほぼ皆無だという現実に辿り着いたわけで、
いっその事、都合のいい女にでもなりましょうかと言えば、
マルコが片眉を上げたまま、あたしを一瞥し、
何の事はない、只の説教をかましだした。
うわぁ、本当にビックリするんですけど……!


「お前、一体どういう育ち方をして来たんだよぃ!」
「や、普通ですけど」
「お前の言う普通がどんなもんかが分からねぇよぃ」
「何?マルコ。意外と真面目なの?それとも照れ屋なの?」
「隊長だろぃ!そもそも、どうしてお前が俺の名前を知ってんだよぃ」
「(あ、ヤッベー)……有名?だからじゃない?」
「質問に質問で返すな」
「手厳しい!」


相手は知らなくても、こちらはある程度の情報を知っている、
だなんて何だかとんだストーカーじゃない?
実際、自分が同じ目にあったら最悪だろうな。


「そもそもお前、何で空から落ちてきたんだよぃ」
「いや、知らないし」
「知らねぇ事あるか」
「その件に関しては一切の供述を拒否します」
「おい」
「って言うのは冗談で、本当に知らないし、覚えてないの!」
「……お前は今から、一番隊に入ったんだよぃ。
隊長に聞かれた事には答える義務がある、
俺にしたって、ワケの分からねぇ輩を従える事は出来ねぇよぃ」
「……」


そんな事を突然のマジトーンで呟かれても、こちらとしては困るわけで、
だってあたしにもよく分からないし、むしろこっちが聞きたいくらいだし
……あ。


「……じゃあ、隊長」
「!」
「(ビックリしてるし……自分が呼べって言った癖に……)
あたし、隊長の部下になるわけでしょ?」
「あぁ」
「だったら、隊長もあたしの事、お前、じゃなくてって呼んで」
「……」


案の定、顔を赤くして黙り込んだマルコは
(この人、これまでどうやって生きて来たんだろう)
大きな溜め息を吐き、会話は終了!(強制終了?)
ここ暫くは、このやり方で切り抜けられるんじゃないかと思った。

弄られすぎていよいよマルコが気の毒に…