何コイツ、凄い可愛いんですけど……!

 

※少し時系列がずれてますが気にしないで頂きたい。




人が夜勤明けに(賃金は出ないけど)爆睡してたら何?
みんなギャアギャア騒ぎだしやがって、
こちとら一晩中マルコ(あっ、隊長って呼ぶの忘れてた)に
しょうもない事で小言を言われていたってのに、
惰眠くらい貪らせろって話ですよ。
そもそも寝不足はお肌の大敵で、
自分で言うのもアレなんですけど特に役に立ちゃしない奴が
夜中に見張りなんてやってても意味ないっていうか無駄じゃない?
以上、昨晩マルコに小言を言われた理由でした。


いやいや、それにしたって何が起きたわけ?
ていうかまぁ、何が起きても驚きませんけどね……!
現にあたしがここにいるわけだし……。
まぁ、いいや。シャワー浴びよう。
特設してもらったシャワー(個人用)もあるわけだし!
こういうトコ気が利くよねぇ、マルコ。
って言った時は小言、30分コースだったなぁ……。


そんな事を考えながらシャワーを浴び、
バスタオルを巻いたまま、まずは化粧でしょう。
こっち(って言う言い方が正しいのかはともかく)に来てからというもの、
ベースメイン(……日に焼けるからね……)になりはしたものの
(しかも化粧濃かったらマルコがうるさいからね。
何でかは知らないけど。只、そのうるささは生活指導の教師並)
そこだけは死守ですよ。
海の上、紫外線が半端ない……!


「おい!起きろ―――――!?」
「うぅわ。ノックくらいしてよマルコ。化粧の途中なんですけど」
「何て恰好してやがる!!」
「シャワー浴びたから」
「まず服を着ろぃ!!」
「……(朝っぱらからうるさいなぁ)じゃあ着替えますよ」
「ドアを閉めてからにしろぃ!!!!!」


徐にバスタオルを掴めば、
妙に焦ったマルコが勢いよくドアを閉めるもので、
相変わらず馬鹿だなぁ、だなんて感想を抱いている場合じゃないか。
マルコが呼びに来たっていう事は、まぁ何かがあったに違いない。
未だあたしの服は調達出来ていないもので、マルコの服を着る。
最初の頃に比べたら、ストックも増えたよ!
(あたしが勝手に捕ってるだけだけど)
髪、濡れたまんまなんだけどなぁ…。
乾かしてたら、


「早くしろぃ!」


ほら、隊長怒るから。
キューティクルが痛むでしょうが!
高いトリートメント買ってもらお。よし、行くか。


「お待たせしましたー」
「遅ぇよぃ!」
「ていうかさぁ、何なわけ?あたしロクに寝てないんだけど」
「俺も寝てねぇよぃ」
「だって、隊長でしょー?」
「……!(こういう時にだけ言いやがる……)」


甲板に近づくにつれ、ざわめきが大きくなる。
これは、本当に何事?


「親父に客人があってよぃ」
「お客さん?誰?って、あたし聞いて分かるの?」
「赤髪だよぃ」
「えぇ!?シャンクス!?」
「……!?」
「いや、知り合いじゃないんですけど」


マルコの次はシャンクスかぁ。凄いな新世界。
正直、リアリティがないので、この程度の驚きですスイマセン。


「よぉ、マルコ」


うわースゲエ、本当にシャンクスだ。
髪、赤いんだなぁ。赤髪って呼ばれるだけあるわ、これは。
へぇーティーチにつけられた傷ってアレかぁ。
海賊って感じ!マルコもそうだけど、意外とでかいよねぇ。


「……お前、どうもねぇのかよぃ」
「えっ?何が?」
「(……こいつ)」


多分、あたし超ガン見してる。


「何だぁ?可愛らしいのが乗ってんなぁ」
「(えっ?あたしの事?嫌だシャンクス、超口上手いんですけど!)」
「マルコ、お前の女か?」
「……違ぇよぃ」
「はぁ?違うのかよ。似たような恰好して。
 あ?髪、濡れてねぇか……?」
「シャワー浴びたんで
(あれ?ファーストコンタクトがこの返事でいいのあたし)」
「余計な事は言うんじゃねぇよぃ」
「……ほぉ」


いや、多分あたし今、シャンクスの考えてる事、丸分かりだわ。
うん。余計な事、言ったのはマルコだよね……。
しかもこの人、気づいてないし。
まさかの天然?……可愛くは、ない!


「遅れて来て、風呂上がりでお前の服を来てる女と
 何もねぇって、そりゃねぇだろ」
「照れ屋なんですよ、ねぇ、隊長」
「何だ、残念だな。お前の女じゃなけりゃ仲間にしたってのに」
「またまた、初対面なのに上手いんだからー」
「いやいや、
 俺はまったく初対面だとは思っちゃいねぇぜ?
 ああーっと……」
って言います」
「なぁ、。俺とどこかで会っちゃいねぇか?」
「ちょっとちょっとー!いつも使ってるんでしょ、そのやり方!」
「ばれたか、ハハハ」
「超うけるんですけどーシャンクスおもしろーい」
「うん?、お前。俺の名前を知ってんのか」
「(あっ、面倒くさい!)だって有名でしょー?」


あ。仕事先の人と飲みに行った風になってる!
只の接待じゃないか、これじゃあ……!
まぁ、あんなおっさん相手じゃないわけですし?
悪い気はしない……


「……お取り込み中悪いが、親父が待つてるよぃ」
「おお!そうだった、うっかりしてたぜ」
「後、こいつは俺の女なんかじゃ間違ってもねぇが、
 うちの隊の一人だ。やれねぇよぃ」


えぇー!!マルコ、まだその話を続けてたの……!?
何コイツ、凄い可愛いんですけど……!


「一番隊のか?」
「あぁ」
「ほぉ、そりゃあ……」


尚更、興味が湧いてきたと笑ったシャンクスは
本当、半端なく恰好よかったんですが、
見送った矢先、振り向いたマルコは何て言うの?怒髪天?
覇気みたいなの出てたよね。
そして、あたしも面倒くせえ、みたいな顔をしたんだろうね。
はーい、スーパー説教タイムの開始でーす。


「何か分かんないけど、先に謝っとくわ。ごめんねマルコ」
「何で謝るんだよぃ」
「や、怒ってるから?」
「別に、怒っちゃいねぇよぃ」
「(嘘吐くなよ……)え、そうなの?」
「お前、本当にどうもねぇのかよぃ」
「どう、って何が?頭?」
「(コイツ本当に馬鹿すぎて嫌になるよぃ……)
 周り、見てみろぃ」
「周り?」


今の今までシャンクスの顔しか見てなかったもので、
マルコに言われて初めて辺りの様子がおかしい事に気付いたよね。
うーん、みんな超倒れてるよね……。
あ。そういえば覇気……。


「あ、そう言われれば具合が悪いような」
「嘘吐けよぃ」
「いやいやマジで!ほら、立ち眩み」


自分でもよく分からないんですけど、
ここは大人しく倒れてた方がよかったんじゃないの…?
や、物凄く鈍い、っていう考え方もありはするだろうけど、
そういえばシャンクスの覇気が半端なくて、
みんな倒れてたとか、あったよね…?
ええー大した力もない癖に、鈍いとか、そりゃないわー。
けど、シャンクスも全然普通だったし(むしろ男前だったし)
よく考えたら特に問題ないんじゃない?


「本当によく分からねぇが…」
「あれ?マルコ、何か勘違いしてない?」
「戦えねぇわけじゃあなさそうだ」
「いやいやいやいや」
「今日から俺が教えてやるよぃ」
「いや、本当無理ですから。そういうのあたし本当無理」


この男、一体何をどう勘違いしたっていうの…!?
殴ったり殴られたり、
そんなデンジャラスな生き方を出来るわけがないし、
単に鈍いだけだと思うんですよね!
自分の事って自分が一番よく分かるし、
妙な期待とかされても困るって、ねぇ、ねぇマルコ!


「お。そりゃいいな。俺が教えてやろうか、
「(うわ、タイミング悪すぎるからシャンクス!)
 いつからそこにいたっていうのは聞かないからね。
 結構です。話に乗らないで!」
「用が終わったんなら、さっさと帰れよぃ、赤髪」
「ご執心な事だ」
「…!」
「(ああーもう余計な事言わないで!ムキになるからさぁ!)」


豪快に笑いながら去っていくシャンクスを見送れば、
背後でマルコが指を鳴らすもので、
まあ好きにやらせてみれば(マルコにね)
土台無理な話だったと諦めもつくだろうと判断。
両手を挙げ、マルコに背を向けたまま降伏宣言を行った。

本誌再登場記念につきお頭