俺らが大迷惑だから

 

※少し時系列がずれてますが気にしないで頂きたい。




能力を封じたからって、極端にスモーカーが弱くなるわけでもなく、
単に少しだけ動きが鈍くなる程度、という結果だったんですけど、
叫んでたらマルコがあたしを抱えて走り出した為、
九死に一生を得たわけです。
多分、マルコ。
一刻も早くその場から逃げ出したかったんだろうな。
もう、海軍とかどうでもよかったんだろうな。


ていうかスモーカー、何か本当にごめんね…。
普通に、こう戦ってあげられればよかったんだけど…
そんなのあたし無理だし、
頼みの綱であるマルコがあんな状態だったでしょ?
故にあのような事態に…。
ちょっと呆れてたもんなぁ、スモーカー。


「おい、!」
「何よ、サッチ」
「いい加減、仲直りしてこいよ」
「何の話 で す か」
「お前、そういうトコ直せよなぁ」


そう。
船に戻ってからというもの、
マルコとは一言も口を利いていないわけです。
いや、だってあいつ人の事、シカトするしさぁ!
本当、シカトされる覚えとかないんですけど、あたし。
疲れたから寝るよぃ、とか言っちゃって、それきりですよ!


「…だって、あたし何もしてなくない?」
「知らねぇけどさぁ、お前が原因なんだろ?」
「身に覚えがないんですけど」
「だったら尚更、聞いて来いって。俺らが大迷惑だから
「そうですか」
「そうですよ」


恐らくサッチは背中を押しに来たんだと思う。
少なからず迷惑は被っていただろうけど…。
色々ありすぎて、マルコがどうして怒ってるのかも
分からなくなってるんだけど、ていうか面倒くさいんですけど、
サッチがわざわざ説得をしに来るくらいだから、
今回ばかりはあたしが折れてやろうかな。
まったく、面倒な隊長を持ったもんよ。


サッチと別れ(去り際に頑張れよ、だなんて言われながら)
マルコの部屋へ向かう。
何か、こういう事って初めてじゃないなぁ。
何だったっけ?昔、似たような事があった気がするけど
―――――もう忘れた。












散々な目にあった。
何を振り回されてんだ俺は…。
半端ねぇ自己嫌悪だ、こいつは類稀に見る自己嫌悪だよぃ。
まずはあの馬鹿()を見失った所から始まった。
何であいつはちょろちょろしやがるんだ?注意力散漫なんだよぃ。
挙句、人が必死こいて捜してりゃあ…駄目だ。思い出すだけで腹がたつ。


クソ…何で男と楽しそうに話してんだっつー話だよぃ。
最初は絡まれてると思って、思わず助けに入っちまったが…
いや、間違っちゃいねぇだろぃ。
何だあいつ()のあの態度は!何してるの?じゃねぇんだよぃ!
馬鹿かあいつは!!


そもそも、何を絡まれてるんだと苛立ってたところだよぃ、俺ァ。
人の目が届かない所で何を勝手に絡まれてやがる。
で、ありがとうどころか何してるの、だと?
お前を捜してたんだよぃ!俺ァ!!
まぁ、あいつが知る由もねぇが…。
で、だ。


何で海軍と一緒にいたんだっつー話 だ!!
抱かれてた?はぁ?
何やってんだあいつ、マジでもう意味が分からねェ。
意味が分からなさ過ぎて、俺ァ全部投げ出したよぃ。
何が一番苛立つかって?そんなもんは、
あの馬鹿によって揺さぶられる自分自身だよぃ…!!


「ねぇ、マルコー」
「(!?)」
「サッチ達が迷惑してるからさぁ、いい加減機嫌直してよ」
「(…こいつは)」
「妬いてくれるのは嬉しいんだけどさぁ、
そもそも何もなかったわけだし、
スモーカーの言ってた事はアレ、嘘だからね?」
「(…)」
「ねぇ、ちょっと!聞いてんの?」


聞いたか、今の…。謝る気が微塵もねぇ物の言い方。
本当にあいつには驚かされてばっかりだよぃ。
あんなのに振り回されてる、だなんて俺ァ絶対に認めねぇからな!!
思い切りドアを開ければ、ゴツンと鈍い音がし、
額を押さえたが蹲っていたが無視だ、無視。
そのまま歩き出せばふざけるなというの叫び声と共に、
背中にとび蹴りを喰らわされた。

マルコが何だかうざくなっている…。
いや、それよりも気の毒な感じに。
そして、何故かサッチ登場。