急にマジトーンになるのやめてよ!
マルコと付き合い始め一週間くらい経過したんですけど、
まぁ何一つとして変わらないわけで、 こんなだったら正直、付き合っている事を忘れてしまいそうです…。 ちょっと、ちょっと待って。 付き合うって…何するんだっけ? そもそも付き合い始めて最初の三ヶ月くらいは、 死ぬほどジョイフル気分で箸が転がってもおかしい、 だとかそんなんじゃなかったっけ? 正しい男女交際なんて(いや、何が正しいのかよく分かんないけど) 随分としてないもんで、よく分からない…。 「よぉ、マルコの女」 「ですけど」 「そろそろ浮気の時期か」 「あんた本当に馬鹿よね、エース」 「人の女になったって事は、ようやく火遊びが出来るって事じゃねぇか、馬鹿」 「馬鹿はお前だ!」 へらへらと笑いながら近づいて来たと思えばこれだ。 まぁ、日常ですよね。 「で、何を黄昏てんだ、」 「いや、別に黄昏てませんけど」 「どうだよ、マルコとは」 「どう、って…普通?」 「ヤったか?ちゃんとヤれたか?」 「ヤってませんし、心配すんな!」 「いやぁ…心配だぜ、俺ァ」 「だから、急にマジトーンになるのやめてよ!しかも、こんな会話で!!」 「まだヤってねぇのか…愕然としたね、俺ァ」 …正直、あたしもどうかなって思ってます…。 いや、ヤるとかそういうのじゃなくて、 こう…キスの一つも未だしていないという事実にね、 驚きを隠せないというか。 まぁ二日前からマルコが出かけてるっていうのも 関係はしてると思うけどね? どうにも統治している島で揉め事が起こったらしく、 マルコとサッチが駆り出されたわけですよ。 そうしてまだ戻らず。 「元々さぁ、凄く、淡白なの?マルコは。ほら、あんたみたいに女の尻、追いかけ回してないし…あっ、年の功か。あの歳で追いかけ回してたらそっちの方が問題か」 「一人で解決してんじゃねぇよ…」 「えぇー?でもさぁ、本当に何一つ変わんないんだよね。まぁ、あたしも遠慮ナシに触るからスキンシップの度合い?も変わらないし、何か変わったトコとかあるっけー?」 「知らねぇし!」 この一週間を思い出す。 そういえばマルコの部屋に入る頻度は流石に増えたような気がするけど… よくよく考えれば前から(勝手に)マルコの部屋で寝てたりとかしてた気がするし、 いや、ちょっと待てよ。目が覚めたら隣にマルコが寝てるとか、あるよね! まぁ、それは彼のベッドですからね…そりゃそうだ。 という事は、既に何かしてて、あたしが覚えてないとか…? 「そんな事、あるか!!」 「な、何が!?」 いけない、いけない。 思わず乗り突っ込みしてしまった。 エース、ぽかんとしてるし…。 酒も飲んでないのに、覚えてないわけがない。 大体、あたしが先に寝て、マルコはその後に眠っている(はず)だから、 何かしかけてくるには問題がないと――――― 「あぁ!!」 「な、何だよ!?」 「思い出した!!」 「な、何を!?」 自分自身の、寝起きの悪さを…!! おぼろげな記憶も思い出した。 しかも、すっごい久々に仕事の夢を見てて (どうして夢って、あんなに前触れもないんだろうか) 首筋の感触で目が覚めた。 マルコが何事か言ってたけど、あれは多分名前を読んでたんだろうなぁ。 うん。 う る さ い。 って言った気がするわ、あたし…。 いやーだって、夢の中で突然、 延々と業績不振がどうのだとか言われ続けてまして、はい。 「お前、最悪だな」 「そのまんま寝ちゃったから、全部夢だと思ってたんだよねぇ」 その翌日、マルコの様子に変わった点は見受けられなかったし、 あたしはあたしで買い物に行ったりと出歩いていたわけで、 こういう風に話をしなければ思い出す事もなかっただろう。 朝起きても(あたしの寝起きが悪いから)ほぼ無言だし、 どちらかって言えば既にマルコは起きてて、部屋にいないし。 あの男、一体何を考えているの…? 「ねぇ、もう二度と手を出して来なかったらどうしよう…」 「(何の心配してんだコイツ…)その時は俺がヤってやるよ」 「本末転倒も甚だしい!そんな問題じゃないし!ヤりたいだけの話じゃないでしょうが」 「(あぁ、こいつマルコの事、好きなんだねぇ)そりゃ、残念だ」 「ちょっと待って。今日、今日からもっと積極的に愛情を示す事にするから!えっ?でも、それでもし拒否られたら、あたしの受けるショックは半端なくない…?」 「(そんなもん、取って喰われるだけじゃねぇのか?)知らねぇよ!俺がヤれねぇんだったら、どうでもいいからねぇ」 そんな会話を延々、続けていればマルコとサッチがご帰還し、 親父に報告をしに行った。 じっとマルコを見てみたけれど、 どうしたぃ、だなんて余りにも普段と変わらない態度をとられ、 暫し考え込む。隣でエースが呆れたように笑っていた。
久々の第三惑星(相変わらず) |