そんな話、生まれて初めて聞いたよ俺

 

どうやら、統治している島の一つで厄介事が起こったらしい。
大きな収入源にもなっている島だという事で、俺とサッチが親父に呼び出された。
まったく、どいつもこいつも厄介事を起こす奴等ってのは
時間を問わずに仕出かしてくれるもんで、
サッチに叩き起こされたのは夜中の三時だよぃ。
俺ァつい先刻、寝入ったばっかだってのに……。


隣にゃが寝てーーーーー
いや、別にいいんだが、どうしてコイツは自分の部屋で寝やがらねぇんだ……。
今に始まった事じゃねぇんだが、コイツは勝手に人の部屋で寝る。
……だったら、そういう事なのかって思ってもおかしくねぇだろよぃ。


「まったく、どこの馬鹿が暴れてんのかね」
「……」
「さっさと終わらせて帰ろうぜ、マルコ」
「ん?あぁ……」
「つかお前、さっきから何、考え込んでんだよ」
「……」
「何だ?の事か?あいつ、今度は何したんだよ」


早速、察しがつかれている辺り、日頃の行いが透けている。
俺もあいつも情けねぇ……。


「あ。そういやお前、もうヤったのか?」
「……唐突に何だよぃ」
「まだだろ」
「……」
「やっぱりなぁ、そうだと思ったぜ。よしよし、その調子で一月は我慢してくれ」
「……お前ら、性懲りもなく又、賭けてやがんのかよぃ」


サッチが極上の笑顔を見せるという事はそういう事だ。
腹が立ちもしねぇよぃ。


「しっかし、何か今更だもんなぁ。ヤり辛ぇのは分かるぜ。しかも相手はアレだろ」
「……」
「初っぱなに一回くらいヤっときゃあな。まぁ、そんなら付き合うって話にゃならねぇか」
「一回」
「あ?」
「一回だけ、仕掛けた事がある」
「えっ、マジで!?」


急に色めきだったサッチが食い気味に話を聞き始め、
少しだけ後悔するが仕方ねぇ。
島に着くまで後、少し。


「えっ、お前……うるせぇって言われたの?」
「……」
「あいつ、凄ぇな。そんな話、生まれて初めて聞いたよ俺
「だっ……だってよ!毎日人の部屋で勝手に寝てるわ、あいつはあいつであんな恰好だろ!?確かに最初は一緒に寝ていいのかどうか、流石に俺も躊躇したが、寝てもあいつは何も言わねぇし、ていうか俺のベッドなのに、どうして俺がここまで気を使わなきゃならねぇんだよぃ!!」
「おおー。落ち着け、マルコ(半笑い)」
「普通、そう思うだろよぃ!それがお前、うるせぇって、お前……!!」
「(うわぁ、面白ぇ!)だよなぁ?そんなもん、据え膳喰わぬは男の恥だ、くれぇ思うよなぁ」


マルコのテンションの上がり方に些か驚きながらも、
適当な相槌を打ち必死に笑いを堪える。
何て話だよ……!


その後、島に到着してからのマルコの様子はご想像にお任せします。
サッチ談。

先日更新分のマルコver。
主人公がエースと絡んでいるという事は、
マルコはサッチと絡むという。
極自然な流れになります(当サイト内では)
サッチの人となりなんてまったく分からないんですけど、
何かこんな感じなんじゃないの風で。