真実は隠されたままだろうか


海賊-ロー




こんな寒い部屋で毛布一つに包まれ汗を流す。
板張りの床にどれだけの汗が染み込んだというのか。
うつ伏せに寝たの背に口付け首を後ろに目を落とす。
最初にを抱いた時から気づいていた刻印を確認する為だ。
彼女が知っているかどうかは分からない。
この印を見ながら突けば興奮が増す。の喘ぎ声とこの刻印。
見えないの過去を蹂躙しているような気がするが、この彼女の事だ。
今ローが犯すよりも酷い犯され方をこの街にされている。


「―――――ぁ、あ」
「もっと腰、上げろ」
「ぅ、はっ、あ」


細い腰に手をあて上半身を密着させながら膝を落とした。
背後からきつく抱きしめ身を捩じらせないように力を入れる。
心の底を通じ合わせていない相手とのセックスは
無意識の中身体が逃げるから、もうそれをさせない為に。
強い快楽からも逃げたがる、恐ろしいから。
気の置ける瞬間が一つとしてないのだろう。
揺れる乳房を掴みもっと身を寄せた。


「あっ、あ、ぁ」

「…っ、な、に」
「顔」


耳元で荒い息のままローが呟く。毎回だ。
毎回、絶頂間近にローは顔を見せろと囁く。
気も定かでないまま顔を上げれば口付けられ、
いっその事このまま窒息死でも出来ないかと思い違えた。
空気を求めればローの舌がそれを阻止するし、
そうなればもう何も考える事が出来なくなる。
こんな現実も、こんな部屋もこんな寒さも全てがだ。


「…ふっ…っ、あ!!」


このまま死んでしまいたいと思ったのは、何も今回だけではない。
快楽に埋もれたまま死んでしまえれば、もう他には何も求めない。
今まさに子宮内へ注ぎ込まれている精子も内腿を垂れている自身の液体さえ厭わない。
行為が終われば泣きたくなる心中も厭わない。
荒い息のまま身を起こせば隣で大の字になったローが腕を掴んだ。そのまま引く。
冷えた胸元に寝転びまだ白い息を見つめた。


「もう少しここにいろよ、
「…冷えるわよ」
「いいんだ」


だらしなく四肢を広げたままで呟いた彼の一言。
只、何の目論みもなく側にいてくれと願った。


表、LEVEL5『真実は隠されたままだろうか』の後編です。
流れ的にこう…やっちゃうよねという事で、
久々の新裏話。相手はローか…他の人、最近書いてないなあ。
そして、この二人は確実に風邪をひくね…!
2010/1/8