これは禁断ですか








驚きの余り、思わず両手で顔を隠した。
巳虎はまるで気にせず太ももから内またを舐めているし、
身体は一向にいう事をきかない。
力の入らない腕は顔を隠すだけで、何の意味もなさない。



弥鱈がどんな表情をしていたかは分からない。
というか、この男はこんな所で何をしているのか。



「ビックリしたよなー?。サプライズ大成功だろ、これ」
「何、なん、なの」
「お前の顔をさ、見たいんだと」
「…っつ」
「なぁ、弥鱈」



顔を隠していた腕、手首を弥鱈が掴んだ。
やはり腕にはまったく力が入らない。



「…とてもいい表情をしてますね」
「……」
「普段の澄ました顔からは想像もつかない」



淫乱な女の顔をしてますよ。
普段よりも彼は多少なりとも興奮しているのだろうか。
いつもなら視線を合わせない癖に、
今日はじっと目を覗き込み囁く。
あの映像の自分が蘇り気が狂いそうだ。



どうする事も出来ず、顔を逸らした。
全身がざわつく、巳虎の舌が這う。



「お前はヤんねェの?」
「ヤりますよ」
「俺、最初いい?」
「…仕方ないですね」
「ゴチでーす」



身体の上で男たちがやり取りをしている。
身体はロクに動きやしないし、
頭の回転も極限まで鈍くなっている。
逃げ出す事も出来ずに、ジクジクと疼く身体を持て余すだけだ。
情けない。何も変わっていない。



「あ、俺挿れちゃうから、お前口でやってもらえよ」
「それ、いいですね」
「好きなんだよな、俺。その姿見るの」



すげェ興奮する。
足を大きく開かれ、巳虎の身体が遠慮もなしに入り込む。
挿入前の圧迫感を一瞬感じ、息が詰まった。
そのままグッと奥まで一気に突っ込む。
思わず声を上げれば頬を掴まれ、
目前に弥鱈の起立した性器を突き付けられた。
咥えろという事だ。



こうなってしまった場合、理性は無駄になる。
何よりも無意味なものだ。思考も不要だ。
差し出されたものを手に取り、
求められるままに動く事だけが助かる術になる。



脈打つ性器を含み、思い出をなぞるように舌を動かす。
相手は違うはずなのにやっている事はまったく同じで、
ここは砂漠なのかと思い違えそうだ。
あの悪夢は醒めていないのではないか。
本当の自分はまだあの地獄にいて、
気でも違えているのでは―――――



「これでいて、明日からまた何事もないように暮らすってのが
 超、興奮するよな」
「歪んでますねェ」
「お前には言われたくねェ」



ぼんやりと歪む視界には弥鱈の姿がうつっていた。
上気した顔でこちらを見ながら巳虎と話をしている。
この男は、普段の姿とまったく違う今の
眼に焼き付けているのだ。
興奮度を増す為に。



「…それにしても、慣れてますね」
「なー?」
「極めて遺憾ですが…」
「興奮するよなー」



全身に薄っすらと残る傷跡を撫で、
彼女の過去に思いを馳せる。
とりあえず今この時間、
がこんな事をされているだなんて、
誰も予想だにしないだろうし、それと同じだ。
過去に同じような事をされていただなんて、考えもしなかった。
目を引く可愛さのこの女が
こんな環境下に晒されているだなんて、とても興奮する。



快楽をより求める為、激しく腰を打ち付ければ
の体内がグッと締まった。ゆっくりと顔を上げる。
視線の先には弥鱈によって咥内まで犯されているがいる。



この男も大概、変わった男だ。
落差のあるの姿を欲し、
それに興奮を覚えるという難儀な性質を持つ。
元々、こんな風に複数でセックスを楽しむ癖がある巳虎にとっては、
弥鱈の参加は願ったり叶ったりではあったのだが、
今改めてこの状況を眺めてみればおかしな話だ。



この【狩】の話を耳にし、あわよくばと思い参加したものの、
ここまで思い通りに話が進むとは思っていなかった。
どうせこれも今日限りの限定した戯れだ。
の心に何かが残ろうが残るまいが、
こちらがどれだけ心残りだろうが
明日になれば全てなかった事となる。



が咽た。
どうやら弥鱈が射精したようで、
口の端から白濁液を吐き出している。
そんな様子を伺っていれば急速に感覚が研ぎ澄まされ、
慌てて性器を抜き射精した。












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汗で艶めかしく光るの身体に指先を滑らせ、
その肌触りを確かめた。
どうやら巳虎が何かを飲ませたらしく
(この室内に蔓延している甘ったるい煙にしたってそうだ、
この男はそういう薬物に鼻が利く)
どこを触っても性感帯になっている
至極不憫な状態になっている。



これは只の女で、恐らくは弥鱈の知っているではない。
が知っているでもない。
只の女だ。



巳虎は大分気が済んだようで、
裸のまま壁にもたれ煙草を吸っている。
こいつはこいつで、
女が犯されている姿を見るのが好きなのだから、
仕方のない性癖だ。
まあ、人の事は言えないが。



座位の体勢に変え、真正面からを見る。
彼女の視線はこちらを映していないのだから出来る間合いだ。



「おーおー、好きだねェ、お前も」
「あなたも人の事は言えないでしょう」
「そういうヤり方したら、情が残るよ」
「…それも一興でしょう」
「お前、本当、バカ」



口付けながらセックスを続ける弥鱈を眺め、ポツリと呟く。
だけれどそれは、こういうセックスが好きで続けている
自身だからこそ吐き出せる事実なのだとも知っていた。
感情の起伏はそれぞれの自由だ。
思いが先なのか、癖が先なのか。
俺は、無駄な事はしない主義だが。



「ぁ、、、ぁあっ、あ」



幾度目かも知れないが、が達した。
貪るような弥鱈のセックスを見ていれば
何故だかこちらも興奮してくるもので、緩々と立ち上がる。



「お前、中に出すなよ」
「…分かってますよ」



この室内に漂う湿度は濃い。
へたり込んだに注ぐ精液と息も絶え絶えな彼女の姿。
一仕事終えたかのように息を整える弥鱈―――――
全てが異常で普通でなく日常から逸脱している。
だからそれが堪らないのだ。







毎回謝っている気がするんですが、
巳虎の性癖を模造して本当にスイマセン
でも当たらずとも遠からずかなって思ってます
うう、、、歪な妄想が止まらないぜ、、、
それにしたって雄大くんverと比べても凄惨すぎんだろ
次のverはあの人です

2015/10/12