気持ちいいね、気持ちいいよね、


海賊-シャンクス




不毛な三角関係に終止符を打ちたがったのは誰だったのか。
皆、何となく背景を察し、それでも触れずにいた。
口の端を歪め、含み笑いを浮かべるローにしてもそうだし、
途端、無口になるキッドもそうだ。


男のプライド、そんなものを刺激しているのだろうかと薄々思っていたが、
にとっても余り大事な部分だと思えず、そのまま放置していた。
ああ。そうか。
今になり思う。
終止符を打ちたがったのは、後から手を出したあの男だ。
あの、大人の男。


子供の戯れに付き合っていられないと、中途半端な均衡を一気に崩した。
確かに、自分自身のキャパも狭かったし、経験不足も否めない。
それでもだ。こんな事になるだなんて、思ってはいなかった。


「ん…」
「男を手玉に取るにはまだ足りねェな」
「どうし、て…ぁ」
「どこもかしこも隙だらけじゃねェか」
「そんな、わかんっ、な…ぁ!」


手玉に取っているつもりは微塵もなかったが、
ローにしてもキッドにしても、こちらの出方を伺い、
至極慎重に言葉さえ選んでいた。
二人の男に好かれているという(しかも相手はルーキー達だ)
状況に酔っていたわけで、気持ちのいい状態を弄んでいたのだ。
きっとそれは、あの二人にも知れていただろう。


それなのに飽きたらず、危機感さえ薄れうっかりと手中に入り込んでしまった。
赤髪のシャンクス。
名の売れた男に抱かれ、ステータスのレベルアップでもと
(今思えば何とも間抜けな話だ)余計な腹積もりをしてしまった。
自分自身の力量さえも測れない、何て馬鹿な女だ。


「まぁ、嫌いじゃねェが」
「離して、も、やだ」
「そりゃ出来ねェ相談だ。そもそも出すまで俺はお前を離さねェぜ」
「もう、嫌だぁっ…!!」
「ハハ」


片腕の癖に自在に身を揺らすこの男は只、恐ろしく、
今更になって例の二人に会いたいと思う思考が汚らわしい。
頭の奥が痺れる度に、彼らの顔が浮かび上がる。


手玉に取っていると思ってはいたが、心はとっくに奪われていたのだ。
ローにも、キッドにも。


だから今、シャンクスに喰われている状況下、
頭の中が彼一色に染められずにいる。
他の事を、他の男の事を考えてしまい、
それなのに抗えない気持ちよさに怯えている。


子宮が締まった。身を捩り、息を殺した。
気持ちがいい、気持ちがいい、気持ちが、


久々の裏は又してもシャンクスですか。
いや、これ裏にするつもりじゃなかったんですけど、
表に置くのも微妙だし、裏に置くにもそうでもないし、
迷った結果こっちに置いてみましたけど。

2010/08/05