骨の軋む音が聞きたい








指先はとっくに割れ、防御創の目立つ両腕からは
鮮やかな血液が絶え間なく流れている。
まあ別段驚く事もなく、よくある事だ。
少なくともここ2,3ヶ月の間に頻発している事象になる。



生まれてこの方、こんなにも一方的な
暴力の嵐に飲み込まれた事はなく、正直な所辟易としている。
が、辟易としていたとしても為す術はないわけで、
辛うじて選べた手段が防御一択。
瘡蓋になるヒマもない。
私の腕はこんなに汚れていたっけ?



「…うっ、ぁ」
「…頑張るね」
「は、あ」
「普通なら、もうとっくに心折れてるところだ」
「ぁ」



容赦なく抜き差しされる肉の塊は不思議と痛みしか与えてくれず、
犯されるという事はまさにこういう事なのだと身体に教えてくれる。
無理矢理犯されても身体は反応するのではないのか。
そうして先に身体を犯し、身体を掌握した後に
じっくりと心とやらを浸食するのではないのか。



心を犯されたからといって、最早どうなるわけでもない。
この痛みから逃れられるのならばそれだけで構わない。
いっそ、気持ちよくあって欲しいくらいだ。



「芯が太いというか、何と言うか…」
「…!!」



延々こちらを犯し続けるのは、件の密葬課の長である真鍋匠だ。
しくじり、この男に捕まった。こちらの落ち度だ。
特定の組織に所属せず、請負の形で様々な仕事をしている
自分のような生き物を彼らは好まない。
目の前をうろちょろと動き回る目障りなネズミだとでも思っている。



調子に乗った真似もいい加減にしときなよと、
そういえば半年ほど前に言われたばかりだ。
あれは確か、箕輪に。



「は、ぁ」
「もうそうそろ、俺の事を好きになったかな、お前は」
「何、言って」
「普通なら、そういう頃合いなんだが」
「はっ、ぁ、」



殺さない目的は未だ分からず、出方を伺う他術がない。
犯し続ける理由も同じだ。
特に不自由はしてなさそうに見えるし、
そんな趣味がある異常者にも見えない。
異常者であればとっくに犯しながら切り刻まれていてもおかしくない。



抵抗する際の手際の良さを見れば、
よくもここまでの暴力を振るえるものだと感心したし、
とりあえずまったく理解の出来ない生き物だと感じた。



ここまでの無力さを曝け出し、
今夜お前は俺のものだと言わんばかりに身を貪る。
文字通り力づくで服従させる。
一つの優しさも持ち合わせずに。



「ふざけ」
「顔を背けるなよ」
「ちょっ、ぁ」



正常位の姿勢で顔を背けていれば、無理矢理に視線を合される。
泥沼のようなこの男の眼の奥に吸い込まれれば、
二度と戻っては来れないだろう。



「俺の事を愛してるって目だ」
「はっ」
「いつまでかは分からないが」



否定する気にもなれず、目を閉じた。
この少々オツムの狂った男は、
無理矢理の痛みしか生じないこのセックスに、
まるで愛情が存在するとでも言いたげだ。
そんな事の為に生かされ犯されているのか。



「明日もお前は、俺の事を愛しているのかな。



バカにしやがって。






ええと、長を書くとこう、
わけわかんない感じになりがちなんですが
今回のわけわかんないレベルは随一かと
長、セックス下手なわけではない、、、
色んな長を書きたいんだけど、
その色んなが酷すぎる

2016/1/25