ぼくのためだけにきみはいればいいとおもう。








もう何度目かも分からない。
意識は朦朧としているが、辛うじて失わずに保っている。


全身から汗が吹き出し、
指先まで引き裂かれそうな痛みに貫かれているのだ。
こればかりは何度喰らっても慣れない。


目前の男が気まぐれに押すスイッチにより、
全身に取り付けられた絡繰りから電流が流される。
気を失う事も出来ない激しい痛みに襲われ、
それでも身を倒さないようにと言い渡されている。
その為、身体を固定する木の枠を両手で強く掴み、
只々、絶叫を上げ続けるのだ。


そんなの真向いに佐々木はいる。
深紅のソファーに一人、深く腰掛け、
右手、その手中にスイッチを握っている。
足を組み、片肘をつき、恐らくこちらを見ている。



「―――――まったくの出来損ないですねェ、、貴女は。
 迷惑をかけるなという私の細やかな願い一つ叶えきれず、
 こちらの手さえ煩わせるとは」

「…!!!」



通常の隊員では入る事も許されない場所だ。
そんな場所の一番奥にこの部屋は存在する。


このエリアに足を踏み入れる時点で、
この部屋が何に使われているのかは理解しているわけで、
だからこの暗く厚いドアの前で口々に囁き合うのだ。


まったく、あいつも憐れなモンだ。
いい年頃の娘だってのに、何でまたこんなめに。
拾われた恩義にしたって、限度があるだろうに。
佐々木の旦那も人が悪い。
諜報ったって、個人で飼い殺してるようなもんじゃねェか。
汚れ仕事だけ押し付けて、日の目も見れやしねェんだ。
かわいそうに。
かわいそうに。



「…!!!」



一瞬だが意識が完全に飛んだらしい。
気づけば床に伏しており、浅い呼吸ばかりを繰り返していた。
佐々木の仕置きが絡繰り仕掛けになったのはいつ頃からだろう。
この部屋を訪れるようになったのはいつ頃からか。



「…あなたの得意分野ですよ、。特技を披露なさい」

「…」



カチャカチャという音が響き、仕置きの終わりを知る。
今回もどうにか生き永らえた。
生き永らえてしまった。


疲れ切った頭は何を考える事も出来ず、
ボロボロの身体をどうにか引き摺り立ち上がる。
ベルトを外した男はソファーに座りこちらを待っているはずだ。


一歩進むが踏み込めず倒れ込んだ。
もう、全身に力が入らない。
それでも、どうにか両腕を使い、
這い蹲りながら佐々木の元へ向かう。


目前につま先が映り、ようやくたどり着いたのだと知った。
最後の力を振り絞り身を起こし、足の間に顔を埋めた。







こんな目にあうのマジで嫌だなと思いながら書きました
佐々木さんを好きな方に平謝り
最早土方夢の要素が一かけらもないという展開ですが
何かそういうの毎度じゃね?と開き直って。。。
すいません
口でやるけどセックスはしません
佐々木は抱かないという事だ(どういう事だ)

2017/3/18