海の側はすぐに日が昇る。
そんな事を言っていたのは誰だっただろう。
ずっと海の上で生活を送っているものだから、何を今更な、そう思った。
日が落ちるのも早いが、昇るもの早い。
陸から来たばかりの奴等は口を揃えてそう言っていた。


誰かと眠っていれば余り深い眠りに落ちる事が出来ず、
今しがたの寝返りで目が覚めたマルコは、
つい先刻まで闇に閉ざされていた海原がすっかり煌いている光景を目にする。
朝焼けに照らされた海は酷く美しい。何度目にしても色褪せる事がない。
陸から顔を出すと何とも言い表せない関係を続け、結構な時間が経過した。


今更付き合う、付き合わない、そんな契約は必要ないと思え、
何となく当たり前のように身を交わしていた。
皆、と付き合っているのか、そんな事を聞く。
あぁ。マルコはその都度そう答え、は笑う。
だから、契約こそなくともこれはきっと
付き合っているという状況なのだろう。何の為に。
嫌に海は煌いているが、今は何時頃なのだろう。


「…まだ、一時間も経ってないわよ」
「寝たふりならよしな、
「目が覚めたのよ」


酷い言い草ね。
隣で眠っているが腕を伸ばし、マルコに触れた。
触れた先から痛むようで、握り返そうと思ったが止める。


特にこれといった理由はないが、昨晩の放出が気に入らなかっただけだ。
気持ちよさの度合いが足りなかったというか、
まあこちらとしては精を吐き出すだけなのだから
何がどう違うのかと言われれば明確な答えは出せない。


「…寝起き早に別れの言葉は要らないわよ」
「何?」
「そういう事かなって、思って」


思わず振り返ればはこちらをじっと見据えている。


「こんな事、続けて。お前は幸せなのかよぃ」
「何が幸せかなんて、あんたに分かるの?」
「お前こそ、何て言い草だよぃ」


呆れたようにそう呟き、
の胸元に潜り込めば足りなかったものに気づく。
心だとか、そういうものだ。
それでも、それが欲しいと口には出せず、彼女を見上げる。
額に口付けを落とすには全て知れているのだろう。
力を込めれば直ぐにでも崩れてしまいそうな細い身体を抱き締め、
怠惰な眠りに落ちた。




こころが透けて見えるんだ

(だから逆らえない)



拍手、ありがとうございました!
第十一弾は人気の?マルコでした。
だらだらしてる感
2010/3/24