嘘一つに対し、対価はどれくらいか。そんな話をしていたような気がする。
トラファルガーの野郎は時価だとか、まったくもってそれらしい事を言っていたが、
どうにもの態度が釈然としないもので、ずっと気がかりだった。


ルーキーと呼ばれる面子がこうやって(まあ、類稀だが)
顔を合わせるのも、このがいるからなわけで、
がいなければ決して顔を合わせる事はない。これだけは絶対だと確信が持てる。


高みを目指す自分達とは又違い、目的へ向かうの経過でルーキーの称号を付けられた女だ。
仲間はいない。たった一人で航海を続けている。
どうにも運が悪いらしく、大きな事件に幾度も巻き込まれ、その結果懸賞金がかけられた。
間抜けな話だと笑った。


どちらかといえばに対し、自分は距離を置いていたと思う。
元々、そんなに女と接するのは得意でないし、
トラファルガーの野郎がに対し並々ならぬ興味を抱いていたから
(愛だとか恋だとかの類なのだろうか?)
厄介ごとに首を突っ込みたくないという気持ち一つで距離を置いていた。


まあ、そんな関係が数日前までは当たり前だったのに、
何故今現在、が俺の腕の中で眠っているのかが問題なわけで、
正直な所、考える事を拒否している状態だ。
ええっと…何でこうなった。
俺ァ、何をどうしてこいつを―――――


「何その顔…」
「は?」
「後悔してるし」
「…いや」


まあ、色々。色々と考えた。
知られてはならない相手だとか、もしもの時の言い訳だとかだ。
そんな事を考えていれば、鍵を閉めたか否かが気にかかり、
何事かとキッドにしてみればわけの分からない言葉を呟いている
を押しのけ起き上がろうとしたら、
お約束のようにキラーがドアを開けるもので
(どうしてこいつらは揃いも揃ってノックをしやがらねぇんだ)
上半身とは言わず、下半身まで素っ裸のまま視線がかち合う。
せめて、何か、言えよ!キラー!


「もうばれちゃった」
「うるせぇ」
「いい加減、諦めてよキッド」
「黙ってろ」
「て言うか、流されてよ」
「…」


背後から囁かれるの言葉はきっと嘘で、
そんな強がりを口にしなければならないほど追い詰められるのなら、
こんな真似はするんじゃねぇよ。頭の悪ぃ女だな。
この間違いを順を追い遡っていれば、鼻を啜る音が聞こえ、更に辟易とする。
泣くんじゃねぇと吐き捨て、彼女の体を引き寄せた。



弱りゆくきみのために耐えるよ(俺が)


拍手、ありがとうございました!
第十八弾はキッドでした。こんなキッド…!
いや、同年代の女とはこんな感じであって欲しい、的な…!
男の子キッドです。意外と周囲を気にする男。ローとは真逆。
2010/5/3