行き付けの酒場、そこのドアを開けた瞬間シャンクスに遭遇したわけで、
その際の驚きといったらなかった。
こちらが避けているという原因は兎も角として、
まさか偶然のタイミングでこの男に遭遇するとは夢にも思わず、目を見開いてしまった。
完全に驚きは伝わっただろう。
まぁ、シャンクスも少しは驚いたらしく、一瞬だが目を見開いた。
ドアを閉めるなり、無様に逃げ出すなり方法は幾らでもあったというのに、
金縛りにでもあったかの如くは身動き一つ取れなかったわけだ。
シャンクスの腕が手首を掴むまで。


「久しぶりじゃねぇか、
「お、おひさしぶり…」
「お前がちっとも顔を出さねぇから、淋しくて仕方なかったぜ」
「へ、へぇ…」


酒場の中はこの男の仕業だろう、酷く閑散としており
(日頃、あれだけ繁盛しているにも関わらずだ)
マスターの強張った笑顔が見て取れた。
悪意はないし、悪気もない。だから余計に面倒になる。
カウンターの奥にはベンが座っており、こちらに一瞥だけくれた。最悪だ。


「あ、ほら…邪魔でしょう?あたし…」
「何言ってんだ、邪魔なわけがねぇだろ」
「だってほら、あの―――――水入らず、みたいだし?」
「遠慮するなよ


こちらに視線を向けないままベンがそう言うもので、
こちらには軽い悪意を感じたが返す言葉がない。
シャンクスの掴んだ手首は痺れが生じるほど強い力で引かれているし、
一度捕まってしまえば振りほどく事は出来ないのだ。
それが分かっていたから逃げていたというのに。


「なぁ、
「はい?」
「お前、俺から逃げてただろ」
「!」
「追いかけっこなんざ、ガキの頃以来だったが」


中々楽しかったぜと笑うシャンクスに勝てる見込みはない。
唐突な質問に脳内は完全にフリーズ。
マスター以上の作り笑いを浮かべれば、
ベンがこちらを見ており、口元が強張った。ような気がした。



はやくなじってあいして


拍手、ありがとうございました!
第十九弾はシャンクスでした。相変わらずな。
題名はシャンクスの台詞っぽいイメージ。
2010/5/3