今日も今日とて同じようなやり口で互いを貪るわけで、
正直なところ飽きが生じていない事もない。
出会ってからこれまで、確かにローの方から名を告げはしたものの、
の方からローの事を聞いてきた例がない点だったり、
相反して色んな探りを入れるローに対し、
真実を一欠けらも与えない点に少しばかりの疑問を抱くわけだ。


まぁ、名を告げるよりも先にキスはしていたし、
名を告げた直後に身を交わしていたのだから言い訳は出来ない。はずだ。
名を告げた理由も、最中に名前を呟かれたいだとか、
そんな詰まらない理由だ。最初はそれだけ。


二度目は目が覚めればの方が先に姿を消していた。
よくある事で、特に気にもせずにやり過ごせば、
あの女がまさかの敵船、
よりにもよってユースタス屋のクルーだという最悪の事実を知り、
幾度か別の女と遊んだ。


次に顔を合わせたのは確か、繁盛している酒場で、
その時は普段とは違うの顔を見る事が出来たわけで、
まあいいのか悪いのか、それは一概に言えない。
ユースタス屋ご一行が先客でいたからだ。


当然の顔をしてその中に座るは不躾に視線を送る。
そういう遊びが好きなのかと思った。

「あ、ねぇ、ロー。それ取って」
「どれだよ」
「それそれ。それ付けてなかったら煩いんだよね、頭」
「…へぇ」

敵船と交える悪い遊びを続けるの心中は定かでない。
深入りせずにすむからか、何も考えずにすむからか。


何かの拍子に、少しだけまともな会話をしてしまった事があった。
生き方についてだったと思う。
確かは、失うくらいなら自分が死んだ方がマシだと言った気がする。

「なぁ、知ってんのかよ、あいつは」
「あいつって誰よ」
「お前の所の、大将だよ」
「知ってるわけなくない?」

そんなに大事なら、
こんな真似をしなければいいのにと心の底から思うだけだ。
失くす事を死と同じレベルで恐れているのならば尚更に。


この女が同じようなやり方で、
あいつにも抱かれてるんだろうと思えば気分は最悪で、
思わず背を向け眠った。



(優しく愛さないで)


拍手、ありがとうございました!
第二十弾はローでした。
何角関係とかいう話が好きなだけです(私が)
2010/5/15