教育実習で来た新しい女の先生はやけに評判が良くて、
まあ何でってそりゃあ見た目がピカイチだからなんだけど、
これがまた本当に芸能人ですか?
って美人で全校生徒が釘付けなわけ。


ほら、基本的に年上のおねーさんって
俺らドキドキしちゃうじゃん?
それがまあ美人だったら尚更じゃん、
思春期の少年なんて簡単じゃん。


そしたらまあ優しいだけじゃなくって話も面白いらしくって、
女子人気も超高いの。
え?こんな人類すべてに愛されるべくして生まれた人って
本当に存在するんだマジかよって思ったよ、俺。
何せ謝花兄妹でさえ懐いてるってんだから大したもんだよ。


しかもこの先生、俺らの先輩なんだって。
マジかよ。そんなん絶対宇髄先生とか手出してんじゃん、
って思って聞いてみたらさ、
俺は俺から手は出さねえんだとか何だとか、
マジでどうでもいい事言いやがって
俺はそんな事聞いてないんだっつーの。


学生の頃もあんなにキレイだったのって聞けば、
見た目は変わってないんじゃねーの。
ま、多少大人っぽくなっちゃいるけどさ。
みたいな、何!?何なのその反応!?
どういう立ち位置の発言なわけ!?


俺、絶対あんたが手ぇ出してると思ってたわ!
100%淫行教師だと思ってたし今だって思ってるよ!?
とか叫んでたら半端ない鉄槌を喰らって(このご時世にどういう事!?)
気づいたら夜ですよ。


あのクソ教師放置して帰りやがった…。
そんな事、ある!?


真っ暗な校舎内って本当怖くて、
ビクビクしながら廊下を這い蹲ってたら女性の声が聞こえ
本当、気絶するかと思った……。
こんな時間なのにまだ誰か残ってるのかよって
(まあ俺も人の事言えないんだけど)ドアの隙間から中を覗く。



「…先生、まだ一人なの?」
「あぁ」
「ずっと?」
「…」
「それって、期待していいの?」



そこにいたのはまさかの人選。
先生と煉獄先生。


ええ!?煉獄先生!?
ええーっ!?!?!?
そんな感じだっけ!?



「先生が後悔してる事も知ってる」
「それは違うぞ、
「!」



あいつらやっぱ付き合ってたのかなぁ、と呟く宇髄先生が真後ろにいて、
俺本当に気絶するとこだったし、
驚きすぎたら人間って声も出ないのね。


教室内の二人が向き合い、
抱き締め合った辺りで無粋すぎんぞと引き摺られフェードアウト。


帰り道に聞いた話によると、
彼女が学生の頃、中々自分になびかず
(ほらぁー!やっぱ手ぇ出そうとしてんじゃん!?)
おかしいなと思っていたところ
(ていうか、それもどうなの?おかしいの?おかしいってもう何がおかしいの?)
先生が煉獄先生に愛の激白をしている現場に偶々遭遇してしまったと。


何だよ煉獄先生、あんたも隅に置けないねェ、と後日話しかけたところ
(ほんっとデリカシーの欠片もないよこの人)
彼女の思いには応えられないと悩み苦しむ姿を目の当たりにし、
マジかよ…と超引いたんだよね。
普通、そんなんゴチになるでしょ。
あの人やっぱ変わってるわ。


と真顔で言うクソ教師がここにいます、
教育委員会の方―!ここにいますよー!!


まあ、大人の関係なんて俺には分かんないし、
だけど今はもう二人とも成人してるからいいんじゃないの。


でも煉獄先生の事だから、
教育実習生にも手は出さない可能性はワンチャンあるよな。


俺も俺で何で宇髄先生とこんな話してるんだか意味分かんないんだけど、
あの教室で煉獄先生を見つめる先生の横顔はびっくりするくらい可愛くて、
あんな表情をさせる煉獄先生マジカッケ―じゃん、
妬み嫉みなしにそう思ったってわけ。




甘やかな片想い





拍手、ありがとうございました!
第百十八弾は煉獄先生メイン、語りは善逸+宇髄先生でした!
どういう…!?という話なんですが
まあこういう話だ納得してくれ。

2019/9/23