お前、戻らなくてもいーのかよ。
と酷く面倒そうにキッドは声をかけて来る。
気遣いだとか心配だとか、そういうものではなく、単純に面倒なのだろう。
要はこの船にいつまでもいられては面倒だと、そういう話だ。
だけれどどうしても戻る気になれなくてここにいる。
元々、こちらの事情で海賊相手の情報屋をしていた。
欲しい情報があったからだ。
世界政府絡みのその情報を求め、様々な海賊の間を転々として来た。
危険な目には両手では数えきれない程、遭って来た。
元々、能力者ではあったのだが、
その力は出来る限りひた隠しにしてきたからだ。
厄介事は嫌いだ。面倒になる。
こうして船に入り浸っているキッドやキラー達でさえ、の本当の姿を知らない。
「聞いてんのか、おい」
「聞いてないんだけど」
「あ!?」
「恋してるんだ、放って置いてやれ」
又かよと言いたげなキッドは(というか彼は口に出したが)
好きにしてろと吐き捨て甲板へ出て行った。
ああいう所は昔から変わっていない。
実際にあれやこれやという事は一切ないのだけれど、
彼は私の事が嫌いではないのだろう。
何て、そんな事を思っていると知れれば殺されるかも知れないが。
「次の相手は誰なんだ」
「今、丁度仕事で絡んでるんだけど」
「ほぅ」
「ヤバい、何かドツボにハマりそうで」
「俺たちも知ってる相手か?」
「ドンキホーテ・ドフラミンゴ」
「…」
お前は一体どういう仕事をしているんだと呟いたキラーは大きな溜息を吐く。
この船に転がり込んで来た理由もそれで、
船を間借りしているトラファルガー・ローにその旨を告げたところ、
彼は途端に機嫌が悪くなり、
詳しく説明をしろとやたらしつこく迫って来たもので逃げ出して来たのだ。
「や、叶わないってのは分かってるの」
「そういう問題じゃないだろ」
「でも何か恋ってそういうものじゃない!?」
「おいバカ女」
「何よ、キッド」
「迎えが来たぜ」
「!」
甲板から戻って来たキッドの背後には、
相も変わらず機嫌の悪そうなローが見え隠れしている。
今度ばかりは逃げ出そうとも唯一の出入り口はキッド(とロー)が塞いでいるし、
迎えに来たぜ、とは言ったものの彼らは後ろ手でドアに鍵を閉めた。
ビールでいいか、と聞いているキラーを見るにこいつは長期戦も覚悟の上のようだ。
予兆を見逃したその先は
拍手、ありがとうございました!
第百二十六弾は久々のOPよりいつもの三人でした!
当サイトのキッドキラーローはこんなです。
頻繁に会ってます。
2020/3/23