真夜中だというのにまるで眠れず、
一人毛布を被ったままベットの上で膝を抱えている。


五時間くらい前の出来事を延々と反芻し他には何も考える事が出来ないのだ。
ハーツラビュル寮で行われた他寮の生徒を招いた茶会で事は起きた。
珍しくレオナも顔を出しており多少の気まずさを覚える。


レオナとは数回関係を持った。
彼の方からぐいぐいと押され、流されるがままにというやつだ。
サバナクロー寮のレオナの部屋はリゾートホテルのようで居心地はよかった。


好意を抱いてはいるのだろうが特に明言された事もなく、
何となく誘われればレオナの部屋へ行く、といった雑な関係の成立だ。
少なくともは多少の情を抱いていた。


そんなレオナが茶会を抜け、誰かと携帯で言い合いをしている場面に遭遇した。
レオナはうるせえな等と言いながらも普段の面倒くさそうな感じではなく
、傍から聞く分にも相手を気遣い、愛していると言った。
全身から血の気が引いたのが分かった。


立ち聞きをするつもりなどなく、一歩後ろに下がる。
トレイがいた。


トレイは人差し指を口の前に立てると、の耳側で囁く。
大丈夫か?
何が。そう言いかけ飲み込む。
レオナとの一件はラギー以外の誰も知らないはずだ。


そのままオンボロ寮に逃げ帰ろうとするの腕を掴んだトレイは、
背後から抱き締めもう一度、大丈夫か、そう言った。
その背後でおい、とレオナから声をかけられ余りの居た堪れなさに今度こそ逃げ出した。


そうして今。レオナからのLINEもトレイからのLINEも開けないでいる。
そもそもトレイはこちらのLINEを知らないはずだ。
エース達にでも聞いたのだろう。


面倒な事になったと頭を抱えても同じ事で、どうせ明日は来る。
心の動揺は未だ治まらず、吐きそうになる胸の苦しみに耐えるだけだ。




アン・ドゥ・トロワで恋に落ちよう





拍手、ありがとうございました!
第百三十七弾はツイステよりレオナとトレイでした!
どっちもどっちなんですけど(真実)
どちらかといえばトレイの方が怖い

2020/8/2