「ねぇ、あたしの事捕まえてどうするつもりなの?」
「…うるせぇ」
「あたしの気持ちに答えてくれる気になったって、そう思ってもいいの?」
「お前、自分の立場が分かってるのか?」
「だって、どうせインペルダウンに護送される前に釈放になるもの」
「…」


だから今のうちにあんたと話をしておきたいのと、
兎角 は先ほどからよく喋る。
元々、この女を狙っていたわけではないが(女としてではない)
のこのこと目の前に出て来られれば捕まえざるを得ないわけだ。
こんなに気の進まない逮捕は初めてだぜ。


「ねぇ、あんた准将になったんでしょ?よかったじゃない、昇進して」
「うるせぇ」
「クロコダイルの一件、見てたわよ」
「お前、どこで…!?」


海軍になり、初めて遭遇した大物がこので、
正義の力なんてまったく意味をなさないのだと知らされた。
そんなものは所詮建前だ、正義の後ろ盾には
こののような悪いものがゴロゴロと転がっていて、
そんなものでこの世界は出来ている。
知ってはいたが、未だ納得出来ていない。


「さっき電々虫が鳴ってたでしょ、こーんな顔で」
「あぁ」
「って事は、もうそろそろだと思うわけよ。だから、何かするなら今のうちよ」
「俺はお前に何もしねぇし、もうこういう事は止せ」


何故この女に気に入られたのかは分からない。
悪ぃが、お前みたいな女を
正面切って相手出来るほど俺は染まっちゃいねぇぜ。


一応、この女が余計な真似をしないよう見張っているだけで、
それなのに目を見ないようにしている自分が嫌なだけだ。


どうせもうじき、馬鹿な後ろ盾から釈放の一報が届き、
この女は又海へと舞い戻る。
貴重な俺の今日一日が一切無駄になったと呟けば、
の笑い声が室内に響いた。



し 信じられないので信じない


拍手、ありがとうございました!
続きってコレかよという。
この話沿いであと二つくらい、いける気が・・・
き、近日公開予定・・・。
2010/6/25