本誌ネタバレ有の為、下げてます

























愚かさを愛せると知ったのはいつ頃だろうか。
それの中に美しさを見出したのは。
カテゴライズされないものは余り好まず、元より一人で生きる性質なもので、
そんなものに興味は持たなかったはずだ。
真実性の限りなく低い行動は取るに足らず、相手次第で中身まで変わってしまう。
無常なやり取りに虚しさを覚え、
業の深さなんて嫌というほど目にしたし、自身味わっていたはずなのに。


善と悪の境目なんて余りに曖昧なものだ。
どちらかといえば自身がその片方に寄っていると知りながら、
を只手放したくなくて腕を伸ばしてしまった。
後悔を募らせると知りながら、
捨てる事が出来ない思いを何と呼ぶのかは知っていた。


「私は馬鹿な女ね、ミホーク」
「…いや」
「貴方を危険に晒している」
「お前が気にする事ではないだろう」
「こんな真似をするつもりではなかったのに」


青白いの頬は冷えている。
微かに震えているのは寒さのせいではないだろう。
徐々に増え行く足音や、轟々と燃え盛る松明に怯えている。
こちら側に招いてしまったのはミホーク自身で、
に否はないと言えども通じないだろう。


どちらかと永遠の別れをする事となる。
出会わなければそんな思いをする事はなかった。
俺は、その事をずっと前から知っていた。


「只、私は貴方を愛してしまった」
「あぁ」
「それは、こんなにも罪深い事なのかしら」
「…」
「赦されない事なのかしら」


ミホークにしがみつくの身体はより一層冷え行く。
きっとまだは気づいていない。
それならば、これから先もずっと気づかないままで、
たった二人だけでこの城を世界にしようか。
村の住民達が怯えた眼差しでこの城に侵入する前に蹴りをつけ、
何人にも冒されない世界をお前と二人で。


「ミホーク…」
「これから先の光景を、お前は目にしなくてもいい」
「…」
「目にしてもしなくても、どちらでも構いはしない」


がこれを罪だと気づくには遅すぎた。
出会った時点で気づくべきだったのだ。
だからもう誰にも止める事は出来ない。
只、あなたの側にいたくて。
重い扉を開ければ恐怖に支配された村人の叫びが木霊している。


恐ろしさに耳を塞ぎ蹲った彼女を横目に、
愚かにも刀を振り上げた自身は救われるのだろうか。
只、この城を世界に変えたかっただけだと伝えれば、神は赦すのだろうか。
の涙を目にしたくなかったからだと、只それだけの理由だと知っていた。




い いじわるな神様の悪ふざけ


拍手、ありがとうございました!
第三十三弾は、まさかのミホークでした。
本誌でミホーク登場なわけですよ。
で、その影響からか早速ミホーク。
私が死ねばいいと思うんですが、ミホーク、エロいな!

2010/7/26