目前の女を自分は知っている。
その事を他の誰もが知っているが、当の本人だけが知らないでいる。
この状況は稀だが、実際にあってしまったのだから受け止める他ない。


「どうしたの?じっと見て」
「…」
「あたしの顔に何かついてる?」
「放っときな、。そいつはそういう奴なんだ」


そうして真実を知りながら知らぬ振りをする男が一人。
漣のような感覚が押し寄せるが留める。
言葉を失くし、その場を見守る。


七武海の召集が行われている海軍本部には
件の事件を起こしたクロコダイルやジンベイを除いた面子が顔を揃えた。
何故ここにがいる。すっかり記憶を失くしてしまったが。


動揺を隠せないのは何もミホークだけではなく、
立場のまったく違うセンゴクや海軍の面々も
怪訝そうな眼差しを向けていたが誰一人触れない。


ドフラミンゴが俺の連れだと言い部屋へ通した
誰もが声をかけられないでいる。ミホークでさえも。


「…あらァ?」
「?」
、あんた。こんな所で何をしてるのよ」


空気を一蹴したのは突然顔を出したクザンだった。
センゴクに用事があったらしく、ひょっこりと顔を出し、
ドフラミンゴの側に立つを目にするや否や上記の台詞を吐き出した。
は何の事だか分からないといった、
困惑した表情でクザンを見上げる。


空気を読んだのかどうか。
クザンはの返事を待たずに用事を済ませ、姿を消した。
残された沈黙、センゴクの溜息、一つ。


「…さっさと、話し合いを始めようじゃねェか。俺ァ暇じゃねェんだ」
「…そうだな」


一人が、この不穏な空気の理由を知りえないでいる。
皆がゆるりと動き出した。




愛してた


拍手、ありがとうございました!
第三十四弾は、立て続けミホークでした。
ミホークというか、こう…海軍オールとか、
何かよく分かんない話になったスマン。

2010/8/13