何となくだが雰囲気ですぐに察する事が出来る。
そうして、それを隠している。
元々気の利かない男という体でやっていきたいわけだ。
それなのに、皆が無頓着なのか鈍いのか。
知りたくもない事を知る羽目になっている。
何でこんな事になってんだろうな。


ガキの頃から知っているキッドとの関係に
水を差すつもりなんざ毛頭ないわけで
(そもそも俺ァそこまで女に不自由はしてねェぜ)
馬鹿長い間、あの二人が友達以上恋人未満だなんて、
どうしようもなく不毛な関係を続けていた事も知っている。


その間、自分が何をしていたかといえば、
バイトだったりバンドだったりそれに通ずる女遊びだったりと、
上げればまあ枚挙に暇がない。
そういや、あの二人がライブに来ていたな、
だなんて事さえ思い出せるわけで、だからこんな胸中が邪魔で仕方ない。


「おい、ユースタス屋」
「何だよ」
「置いていくんじゃねェよ」
「仕方ねェだろ、一回寝たら置きねェんだ」
「ありえねー」
「ま、お前んトコだったら妙な心配もしなくていいしな」


それもありえねェよと思いながら、口に出せないでいる。
これからバイトだというユースタス屋は、
すっかり寝入ってしまったを置いて、この部屋を出て行く。
俺の部屋にを置いて出て行く。


「何かあっても知らねェからな」
「悪ィな、バイト終わったら迎えに来るから」


何も知らず眠ると、何も知らず出て行くユースタス屋。
信頼関係なんて面倒くさいものだと分かっているのに、
それを盾にし何もしない自分も自分だと分かっている。
どれだけ強がってみても同じだ。
結局、何も出来やしねェよ、俺は。


とてもじゃないがと同じ部屋で眠る事は出来ないと思い、
レポートに取りかかるが、まぁ当然ながら何も纏まらず、ボールペンを放り投げた。


て テヌート気味な愛の言葉


拍手、ありがとうございました!
第四十三弾はロー(現代パロ)でした。
大学生設定なんですけど(三人とも)
ユースタス屋って呼び方はどうかと思ってるよ。

2010/9/22