だからそんなに間近で見ないでと、
は心の底から嫌そうに呟き、視線を逸らした。
いいから俺はお前を見てたいんだと返すシャンクスを押しのけ、身を起こした。
目覚めればシャンクスの眼がこちらを向いているだなんて、よくある話だが好まない。
一体、どこから見ていたんだと思う。


寝顔なんて見てるんじゃないわよと呟く。もう少し眠って居たいのだ。
心安らかに、危機を感じず眠れるのはシャンクスのいるこの船の中でだけ、
ここから離れれば又、一人になり安らかに眠れない日々が繰り返される。
だから、シャンクスの隣で眠るこんな時間は非常に重宝しているのだ。


「…どうして見るのよ」
「忘れちまわねェようにだろ」
「知らないわよ」
「お前がずっとここにいりゃあいいんだが」
「お願いだから、もう少し眠らせてよシャンクス」
「あぁ」
「だから、見てたら眠れないでしょ」
「気にするなよ」
「鬱陶しい!」


シャンクスに背を向け、もう一度惰眠を貪ろうと目を閉じた。
一緒にいる理由が互いに違いすぎて、
上手に立ち回る事が出来なくても構わないのだ。
だからシャンクスは無理矢理に引き止めず、この生温い関係に甘んじている。
互いが互いの生き方を尊重しているから。
シャンクスの指が髪を撫でた。少しだけ船が揺れていた。


今日と明日を繋ぐ波


拍手、ありがとうございました!
第五十五弾はシャンクス(暗くない)でした。
寝顔を見られるのは嫌だよね。


2010/11/3