瓦礫の中からひょっこりと顔を見せたは所々が傷んでおり、
どうやら意識が多少混濁していたらしい。
何が起こったのかが分からない、というような顔で辺りを見回し、
一瞬だけ頭を抱えた。


の名を呼び、こちらも疲れた身体を引き摺りながら近づけば、
こんな所で一体何をしているのと言われ笑う。
こんな所で一体何をしているの。
そして一体何が起こったってわけ。
身体の傷の理由さえ分からず、それでも現状を把握しようともがく。
そんな冷静さが、こんな事態を招くんだぜと思いながらも伝えない。
既に起こってしまった後の話だからだ。


一過性の戦いは終わり、こうして二人だけが残った。
そもそもがの戦いだったわけで、
シャンクスは単なる巻き添えを喰っただけに違いない。
陽の明かりさえ遠い、こんな寒村では憤り、命を蹴散らすように戦った。
そんな彼女の噂を耳にし、興味本位で顔を出せば一切を忘れたの矛先に掠ってしまい、
気づけば瓦礫の中にいたわけだ。


ベン達にばれたら死ぬほど怒られるんじゃないかと思ったが、
こんな寒村の出来事が知れるわけもない。
こちらが口を開かなければ。


「あんた、何してるのよ…こんな所で」
「お前に会いに来たんじゃねェか、連れねェ事を言うなよ」
「あんたがあたしに会いに…?それは悪い冗談だわ」
「…まぁ、今はそんなお喋りをしてる場合じゃねェ。立てるか?」


この戦いの本質が何だったのかは分からない。
当の本人さえ一時的な記憶喪失になっているのだし、相手は既に事切れた。
残されたのは半壊した寒村だけだ。


腕を取りを立たせれば、よろけたがシャンクスの胸にもたれかかった。
ろくに動きもしない片足を引き摺ったまま、
どうしてこんな事になったんだとぼやくの手を握る。


「…嫌だ、あんたも血が出てる」
「おっ」
「何?大丈夫なの?」
「心配してくれんのか」


そいつは優しいと笑いながら、お前の仕業なんだけどよと飲み込む。
半壊した寒村を抜け、どれくらい歩けば町に辿り着くだろうか。
日が落ちれば粉雪が舞い、じきに吹雪く。
二人寄り沿い、冷えを凌ぐには辛すぎる寒さだ。


「…お前の船はどこにあるんだ?」
「それが、思い出せないのよ…どうしたのかしら」
「そいつぁ、参ったな」


辺り一面白く染まり、足跡さえ隠す。
こんな世界にたった二人ぼっち。
取り残されたような気がしたが、不思議と淋しさは感じず、
何となく、途方に暮れた振りをしていた。


明るすぎた太陽の嘆き


拍手、ありがとうございました!
第六十四弾はシャンクスでした。
最終的には、いつまでたっても帰ってこない
シャンクスを探しに来たベン達に捕獲され、
死ぬほど怒られます。シャンクスだけが。

2011/2/16