これからもこれまでも絶対に二人は変わらないのだと信じて疑わなかったわけだ。
根拠など何もなく、只々そう信じて疑わなかった。
夏の残暑が終わり、凍てつく冬が来る少し前の季節がとても好きで、
蓋を開ければそれ以外の季節は嫌いで。


この季節が永久に続く島に移りたいと口を開けば呟いていた
いつの間にかこの腕をすり抜け目の届かない場所へ逃げ去っていた。
ローばかりが何故だろうと理由を欲しがり、だから納得が出来ないでいたのだ。


何故二人が変わらないでいられると思ったのかは分からないが、
どうにもこちらは何も変わらないまま月日だけが過ぎ去っていくわけで、
こうして久方振りに目にしたを捕らえ、目前に座らせている現状に満足をしている。


「…仲間が捜してるわ」
「どうだかな。まァ、例えそうだったとしても俺ァまったく興味がねェ」
「海賊が海賊に掻っ攫われたのよ。何もなく済むわけがない」
「それはそれで何一つ問題のない展開じゃねェか。俺にしてみりゃあ願ったり叶ったりだ」


お前に今の俺ってヤツを見せる事が出来るだろうと臆面もなく吐き捨てたローは、
こちらが与えたダメージがを如何ほど侵しているのかを確かめている最中だ。
明日になっても余り腫れが目立たないように処置はしたはずだし、骨は折れていないはずだ。


「もうじきお前の好きな島に着くぜ」
「あたしの好きな…?」
「忘れちまったか」


目前の女は以前とはまるで違えてしまっている。
本当はとっくに理解していた。二度と、あの頃の二人には戻れない。
そんな事はとっくに分かっていた。
離れた時間は彼女を変えてしまったのだし、その事にとうのは気づいていない。


「キャプテーン!敵が来たよー!」
「迎え撃て、ベポ」
「アイアイ!キャプテン!」
「皆殺しだ」
「ロー!!」


変わってしまった事実を受け入れる事が出来ず、一度だけきつく目を閉じた。
何かが間違っていると分かっていながら目を開く。
断末魔を耳にし、涙を浮かべるを見下ろしながら、
それでも自身が間違っているとは思えないでいた。





すぎゆく時間





拍手、ありがとうございました!
第七十四弾はローでした。
思い出を引き摺る率が高い。

2011/7/22