お前はどうして俺といるんだと問われた事がある。
何の気なしというところだ。
サッチが殺され船を出たエースと偶然出会い、
理由もなく一緒にいる。



いや、嘘だ。
とりあえず全てが嘘だ。



エースが船を出た事はマルコから聞いて知っていたし、理由がないなんて事もない。
この男が心配だから一緒にいる。
それも半分嘘か。



酷く若い頃、少しだけ一緒にいたからといって解り合っているわけでもない。
只、心の揺れようが手に取るように分かるだけだ。



あの日、何となしにエースの元を訪れれば、
彼の姿はとっくに失せていた。
心なしか冷め切った船内で不在を聞き、
踵を返しかければマルコに声をかけられ、一部始終を聞く。
マルコはそれ以上の事を言わなかったが、何となく察した。



それからはエースを探し求める日々の始まりだ。
二ヶ月ほどかかっただろうか。
暑い国でようやく出会い、行動を共にした。



この男との暮らしは楽でなく、基本的に性根が海賊なものだから、
衝動的な行動が目につく。
心が傷ついているのだと知ったのは少し経ってからの事で、まったく素直でないと呆れた。



寝床はその日に決まる。
一先ず今日は場末のモーテルだ。
廊下にはジャンキーたちが死んだように寝転んでいた。
貧しく治安の悪い港町だ。
似合いの場所だとさえ思えた。



時間の経過と共に、当然の様に身を重ねだした二人には最早何もなく、
身をすり減らすようにベッドへ縺れこむ。
二人でいるのに、いつまでたっても一人ぼっちのようで、
だからこんなにも淋しいのだと知っている。
きっとエースだって同じで、だけれど彼は何故かを知らない。
故に彷徨う。
手さぐりで模索する他ない。



塞がらない傷を負ったまま、は今日も瘡蓋を掻き毟る男に寄り添う。
腹の内を晒さない男は曖昧に微笑み、この身を貪るだけだ。




(美しいのは)





拍手、ありがとうございました!
復活第八十七弾は久々のエースでした。
暗いね


2017/4/23