随分昔の話を持ち出すのねとは笑った。
俺は執念深い性質でな。
そう返せば知っていると返され笑えた。


ドフラミンゴの元に一瞬だけいたこの女は、
これまで出くわした全ての女の中で最もしたたかな女だ。
あのドフラミンゴをして、大したタマだと言わせる程度にはいい女だ。
だからより一層、過去をほじくり返す。
己のこんな性癖には幾分嫌気が差しているが、
こればっかりはどうしようもない。


随分と性急に距離を縮め、の腰辺りを両手は彷徨う。
まるでその気のないは近づくローの唇を容易く避け、背を向けた。
性懲りもなく追う他ない。


耳の縁に口付けるように囁く。
あの時の傷を舐めてくれよ。



「…何の話?」
「あんた、覚えてるだろ」
「さぁ…」
「俺を見ながら、あいつと寝たろ」
「…自意識過剰じゃない?」
「そうかな」
「別にあんたなんか見ちゃいないわよ」



あの頃も今、目前でさえも、この女は嘘ばかり吐く。
自分に焦がれる純真な(自分でいうのも何だが)
青年の純情を目前で汚し
(しかも、問題はその汚し方だ。
目線を合わせながら他の男と絡むだなんて、正気の沙汰じゃねェだろ)
ドフラミンゴと絡み合いながら消えて行った姿が未だ脳から離れない。
悩ましく男を見つめるあの眼差し。
その一晩だけでペイする程の魅力だ。
ドフラミンゴも満更ではなさそうで、珍しく捜していた。
結果、見つからなかったから、今この女はここにいる。


首筋をきつく舐め上げれば、の吐息が漏れる。
だからどうにか俺の傷口も舐めてくれよ。
もう一度そう囁いた。




浜辺の砂場





拍手、ありがとうございました!
復活第八十八弾は久々のローでした。
年上女とロー。


2017/5/14