何かさ、俗にいう後悔の日々なんての、あんた毎日っぽいよな。
なんて急に声をかけられ、流石に驚いた。
失礼千万な言葉を持ち出してきたのは尾形だ。
同じシフトに入る事が余りない為、人となりさえよく分かっていない。
只、この店の古参メンバーだという事だけは知っていて、
この夜の時間帯を取り仕切っている。
元々、そう頻繁にシフトインするわけでもなく、
繁忙期に声がかかればシフトを入れる程度のこちらに声をかけてくるとは思わなかった。
オーナーの意向なのか趣向なのか、この店は大学生のみで構成されている。
この尾形のように長く働く人間が数人おり、シフトも回しているのだから大したものだ。
大しては、仕送りだけではちょっと心許ないかな、
程度の感覚で月に数回バイトに入る程度。
同じ大学生ながらこうも違うのかと驚いた。
「…えっ?」
「あ、ほらオーダー」
「えっ?」
自分に声がかかるという事は、忙しいと言う事で、
何だか上手く誤魔化されたような気がしたが、
それこそオーダーの嵐に見舞われそれどころではなくなる。
怒涛のラッシュをどうにか乗り越え、
ようやく閉店を迎える頃には心身ともにヘロヘロになっていた。
しかし、閉店を迎えてもまだ終わりではない。
閉店作業からのレジ締めが待っている。
だからこの時間帯はイヤなんだと思いながらテーブルを片付けていれば、
レジ締めをしている尾形が又しても話しかけてきた。
「珍しいな、。こんな時間に入るなんて」
「人がいなかったんですよね?」
「いつも足りないけどな」
当たり障りのない会話を交わしながら作業を続ける。
「なんかさ、遠距離の彼氏とかいそう」
「!」
「あ、やっぱ図星?俺、そういう勘あたるんだよな」
「尾形さんはいないんですか」
とりあえず聞かれた質問を反芻するという、
有り触れた手法を使うもあえなく撃沈。
尾形はニコリと笑うが決して答えない。
「愛とか信じちゃってんだろ」
「って事は、尾形さんは信じてないって事ですよね」
「そういう曖昧なもの、どうやって信じてんだよ」
「どうって」
「ほら」
急に伸びてきた腕が肩を掴んだ。
強く引き寄せられ尾形との間がゼロ距離になる。
息を飲み顔を上げた。
「ほら、すぐに始まるぜ」
「なっ…」
「後悔の日々、初めてでもないんだろ」
その様子じゃあ。
だなんて尾形が笑うもので、ようやくからかわれていた事に気づき、
またまた、だとか、やめてくださいよ、なんて
わざとらしい大声を上げパッと離れる。
後悔の日々はすぐそこにいて、いつだってこちらを待っているようだ。
次っていつ入れるの、尾形の声が聞こえた。
俺様的領域設定
拍手、ありがとうございました!
復活第九十七弾も尾形(現パロ大学生)でした。
ちょっと前に書いた話のシリーズです。
ご存知の通り、割と気に入っているよ!
2017/12/30