AND SO ONノ容

冗談で割り切られその後は続かず―――――
確かに今更な気もしないではない(しかしそれでは困る)


「冗談!」
「いや、冗談じゃねーって!!」
「こっちだって冗談じゃないわよ」


そもそもあたしが好きなのは岡田君、それはあんただって知ってるでしょ。
鼻先に指を突きつけられた湯舟はの言葉に
馬鹿じゃねーの!?暴言を投げつける。


「馬鹿!?」
「馬鹿馬鹿超〜〜馬鹿!!」
「はぁ!?」


つーか岡田がお前みたいなの相手にするかよ!!
告白の数秒後の言葉とは到底思えはしないが事実だ。
湯舟は数秒前にへ告白を(かれこれ総計二桁)
の返事は毎回同じく冗談じゃないだった。まったく可愛げがない。


「別にいいの!!それでも!!」
「ああ!?」
「岡田君知ってるし」
「何を、」
「あたしが好きな事」


マジで!?
無人の屋上ではあまりにも湯舟の声が響きすぎる。
突如理解出来た現状、
は相変わらずブツブツと文句を言っているし、
だからといって今更引き下がる事は出来ない。


「つーか、」
「ちょっと聞いてんの湯舟!!」
「何で岡田!?」
「え?格好いいから」


普通に答えられれば立つ瀬はない。
馬鹿俺の方が格好いいっつーんだよ、お前の目は節穴か!?
そう言えば前回の告白(二週間前)の時もこんな感じだったと。
も慣れてしまったようで、
最近では湯舟が告白する前にお断りする始末だ。
だからこの女は。


「頭もいいし、」
「男ってのはだな」
「優しいし」
「俺の方が優しいっつーの!!」
「物事動じないし〜」


ビビリー君とは違うのよね。
ニヤリと笑ったの耳にはピアスが。
と、いう事で今日は終了!あんた今から部活でしょ?
軽やかに身を翻しドアを開けるを呆然と見ていた。




「お、又玉砕か?」
「お前もー諦めろって」
「つーか岡田の事好きだっつってたじゃんちゃん」
「うるせえ!!!」


ぶっちょう面を引っさげ退却してきた湯舟にかけられる言葉はそんなものだ。
休み時間には絶対に岡田の近くに、最初は相当驚いた(湯舟を筆頭に岡田自身も)が
今となっては見慣れた光景である。
そうしてそんな二人の間に割って入った湯舟にも。


「けどよ、」
「岡田はどーなんだかな」
「だよな、あれだけ毎日毎日だろ?」
「つーかもうヤってんじゃねーの?」


湯舟をからかうように投げられる言葉。
丁度ユニフォームに着替えていた湯舟は
何だと!?等口走りつつよろめきながら倒れた。
とっとと着替えろよ湯舟―――――
タイミングよく部室のドアを開けた岡田、毎度の対面が始まる。


「岡田、テメー!!!」
「あ?何?又告ったの?」
「又告ったの?じゃねーよ!!」


何回告りゃいーんだよおい!!
あたふたと着替えを終了させた湯舟は岡田に食ってかかるが
とうの岡田にしてみれば関係のない事だ。
いや、俺が知るかよ―――――
岡田は笑いながらそう返す。


「お前のせいで今日も駄目だったってよ」
「俺のせい?」
「だあああっ!!!」


余計な事言ってんじゃねーよ!!
パッと振り返った湯舟は下唇を突き出し岡田を掴んでいた手を離す。
そうして一言、お前にゃ負けねーからな!!そう言い残し部室を後にした。




以下部室に残されたメンバーの会話


「何だ・・・?あいつ」
「おいおい岡田〜〜〜」
「お前ちゃんと何もねーの?」
?」
「あいつ又駄目だったんだってよ」
「凝りねーよな」
「何?のヤツ又?」
「まお前の事好きだっつってんだから仕方ねーか」
「はぁ!?が!?」
「いっつも言ってんじゃねーかちゃん」
「え?あれ冗談じゃねーの?」
「じょ、冗談ってお前・・・・」


岡田の一言に部室内騒然、それと同時に皆納得。
湯舟が心底惚れているのも理解出来る(は嫌に可愛らしい)
しかし岡田がの好意を、
冗談だと受け取るのも分からないわけではない(兎に角は可愛らしい)


ちゃん可愛いもんな、確かに」
「おう、湯舟が好きだっつーの分かんな」
「けどよ、」


直接付き合うってのには結びつかねーんだろ。
突然割って入った安仁屋の言葉に皆激しい納得を。


「つーかヤるヤらねーの問題だろお前の場合」
「まーな」
「ま、そーゆーキャラだからなちゃん」


何か飾っときたい感じだよなちゃんって、カワイイだろこの娘俺のーみたいなな。
が耳にすれば間違いなく激怒しそうな会話も如何せん仕方がない。
何故ならばこの会話は俗に言う本音の会話なのだから。


「つーかお前何戻って来てんだよ」
「湯舟がうるせーんだよ」
「は?」


安仁屋は入り口付近に佇む岡田に近づく。


「お前に勝つだとかどーだとかワケ分かんねー事言っててよ」
「は?」


面倒くせーから赤星に押し付けてきたっつーの。
安仁屋はそう言いタオルで顔を拭った。




「ちょっと〜〜まだやるんスか〜〜!?」
「るせェな黙って投げろ!!」
「あ〜〜〜もう」


途中で逃げ出した安仁屋と若菜。
どうやら湯舟は今度の試合時にホームランを打ち、
それをに見せ付けたいらしい。
見るに見かねた新庄がキャッチャーを代役し、
赤星は延々と投げ続けさせられている。


「ストライク、」
「え!?マジで!?」
「ほら〜〜無理ですって!!」


大体俺の球っスよ!?
うるせェ下手な球投げやがって!!
川藤が来るまでこれは続けられる。
受難な三角関係は歪ながら回り続けるのだと。

再UP
学生の話は明るく書けていいよね。
2003/11/19