サン

昼間近になったところで起こさなければ決して起きはしない。
が目覚め数時間、今までに幾ら起こした事だろう。
昨日学校帰りに直接参りそのままやる事は一通り行い寝た。
この男は未だ夢の中だ。


「ちょっと〜〜〜」
「ん〜〜〜」
「いい加減に・・・・」


起きなさい柴田!!!
思い切りベッドに跳んだと大きく振動したスプリング。
弾かれたように目を醒ました柴田は、胸の辺りを抑えながらを見上げる。


「な、な、な・・・!!」
「何回起こしたって思ってんの!?」
「し、知らねーし!!」
「何!?」


寝ぼけ眼の柴田は酷く驚いたらしい。
ボサボサの髪を掻きながらベッドを降りる。
の飼っている猫が柴田の足に飛びかかり
どうやら爪を立てられたらしく、
痛ってぇ!!!
目覚めたばかりなのにもううるさい。


「うるさい!!」
「痛ぇよ!!」


猫は柴田に懐いているのかそうではないのか―――――
分からないが兎角柴田の側を離れないし、
柴田もそう苦手ではないらしく猫とじゃれあう。
手がかかるわ本当に―――――
歳のせいだけではないだろう。




「お、スゲー」
「腹減った!!」
「マジで!?」


眠気覚まし(あれだけ寝たのにまだ眠いらしい)
のシャワー後柴田の発した台詞は上記だけだ。
TVを見ながら何かしら叫びその都度の相槌を求めるが
はそこまで暇ではない(しかも今は昼食を作っている)


「なーなー」
「何」
「マジ可愛くね?」
「は?」


ふと振り返ればは激しい後悔を。
ああ柴田の目につく場所に置いとくんじゃなかった―――――
テーブルの上には開けっ放しのマニュキアが並んでいる。


「あ、あんた・・・・・」
「つーか難しくねー?」
「ああ、もう・・・・・・・」


どうして人の化粧品勝手に使うのよあんたは!!
マニュキアだけではない。
この前はグロスを、その前はマスカラを
(どうやら知り合いに江夏という名前の人間がいるらしく、
柴田は仕切りに江夏みてー!!と爆笑していた。
それが事実ならば何とも羨ましい睫毛だ)
香水に至っては持ち帰られる所だったので、はわざわざ購入を。
散財だ。


「そのまんま学校行くの?」
「おう」
「・・・・・・別にいいけど」


もう昼は下がり始めている。
勝手に冷凍庫からアイスを取り出し食べている柴田は、
やはり一人TVと会話をしており時折猫に甘噛みされているらしい。
まったく休みじゃないわよお守りじゃないこれ―――――
は溜息をつきながら、
どうせ今回も残される運命を辿るであろうセロリを裂いた。

再UP
お休みの一日
2003/11/19