ここはどこだろう。それをずっと考えていた。
ここは一体どこなのだろう、そうして自分は何をしているのだろうと。
記憶が酷く曖昧なもので何も思い出せやしないのだ。
そうして今目の前にいる一人の男は誰なのだろう。
どうしてそんなにかなしそうなめであたしを見ているの。


、」
「・・・何?」
「覚えて、ねーのか・・・?」
「何を?」


それにしてもまるで身に覚えのない傷が
全身を埋め尽くしているのだ。痛む。
そうしてここはやはりどこだと。
格子越しに自分を見つめるこの男はそうして。
何故今にも泣き出しそうな顔を。


「どうかしたの、あんた」
「どうかしたって・・・お前、」
「どうして泣きそうな顔してるのよ」


格子の隙間から細い腕を伸ばし男の頬に触れれば
心もとない感触ばかりが指先を伝わる。
男はの指をきつく握り返し頬に擦り寄せそうして口付けた。
俺は恋次じゃねーかよ、覚えてもいねーのかよ。
肩を震わせ泣く男にが一体何を出来たのだろう。
何も出来なかったからは只そのままに身を任せていた。


ゆらり。

再UP
2005/1/15