償却スル誠実サト太陽





連日連夜ヤって寝て喰ってそれの繰り返し。
それに鍛錬の時間を加えれば、全く隙のないスケジュールの出来上がりだ。
年中盛っているわけでもない只そう淡白でもない。
これが普通だとゾロは思う。


擦れた女の相手をするのも
そうでない女の相手をするのも大して変わりはしない。
只やはりヤって寝て、鼻から聞く気のない彼女の話をやはり聞かず
そのまま彼女は一人怒り関係を修復する事もしないゾロの事だから
(例のコックにしてみればそれこそ最悪の仕打ちらしいがあまり気にはならない)
別れの日は近い。
何が不満なんだとゾロは思う。









遠く近く波が揺れる、陸上から海の上に。
彼女の素性は分からないまでも、育ちのいい女でない事だけは確かだ。
まったく違う人種だとも感じたが脱げば皆同じ。
あるものにしろ使うものにしろ総てが。
ロビン辺りと話をしている様はまるでお話にならず、
頭の悪い女かと思えば案外頭はよかったらしい。
人は外見では判断出来ない。


しかしそれすらも時が経てば狡賢さに見えてくる点、
はそこらの女とは少しだけ違っていた。
否それは善くも悪くも。
何を思索しこの船に乗り込んだのかは分からないが、
大した問題にはならないだろう。
その夜はゾロを誘い、
ゾロはそれに逆らう事もなく関係を持った。
やはり何一つ変わりはしない、そう思った。









性欲と食欲。
隣合わせのそれに正直な気持ちをぶつける。
無理は身体によくないし、それよりもそんな事をした例がない。
素っ裸のままは甲板へと。
そりゃねぇだろ、そう思いはするが、
余りにも倦怠感が身を包んでいた為ゾロは何も言なかった。


床に布を引きその上でヤった。
は背中が痛いなどと文句を言っていたが、
アスファルトよりはましだと言えばそれもそうだと答える。
ああそりゃよかったな、
気のない返事を返したゾロは少しだけ妄想し、
しかしがそれに気づいていそうだった為すぐに止めた。


月明かりの差し込むこんな夜には総じてロクな事がない。
とっとと寝ちまえよ
やる事は総て終えたこの時間帯、
まどろみかけたゾロは最後に少しだけ大きな声でを呼んだ。


「…何?」
「寝ろつってんだよ」
「え?どうしてよゾロ」
「あ〜そりゃ、俺が、」
「あんたが眠いんなら勝手に寝ればいいじゃない」
「?」
「あたしはあんたと一緒に寝ないわよ」


何でヤったあんたとヤった後まで
一緒にいなきゃなんないのよ。
酷く突き放したような言い方をする
ゾロは一瞬だけ驚き、それでも眠気は勝った。
ああだったら勝手にすりゃいい。
苛立ったのも束の間、まどろみはゾロを溶かしてゆく。









あれから数える暇もなしにと寝て唯一分かった事。
は絶対に眠らないし、その事についてゾロ自身、
最早疑問一つ抱かないという事だけだ。
別にお前が好きだとかそういうのじゃねーよ只俺が。
言い訳がましくそう言えば、
あたしだってあんたが嫌いとかそういうのじゃないわよ只あたしが。
はそう言い気まずい空気が二人を分かつ。
だから未だにとゾロはクルー公認の仲の悪さを保ちつつ
互いに胡散臭い、そう思う。


「なぁ今日ヤろうぜ、」
「いいけど、」


食後キッチンですれ違う瞬間交わされる会話は
短絡にそんなものだ。
好きにならない感情が牙を剥き意地を張る。

再UP
2003/10/3