けれどもそんな中途半端な希望ほど残酷なものはないのですよ
ケレドモソンナチュウトハンパナキボウホドザンコクナモノハナイノデスヨ

なぁ。あんたは俺を好きだって言うけどさ、
それって実は凄ェ酷ェ事じゃねェのかって
俺最近思い始めたんだけど。
つーか多分そうだよ、そうじゃねェのだって。
だってあんた。







「あれー?」
、さん」
「うーわ取ってつけたようなさんだしね」

前田と同じ年のには初対面からこんな感じだった、
まずはの第一声だ、それが後の全てを位置づける。
突然クラスに現れたはズカズカと室内に入り込み
海老原の寝そべった机の前に立つ。
人気に気づいた海老原がふと顔を上げれば
は鼻先に指をつきつけあんたが海老原?
そう言い放った。

「何やってんスか」
「あんたこそ」

海老原は前田達を探していた。
は何をしていたのか―

「あ、そうそう。あんたさっき又―」
「うわ、るせェ」
「は!?可愛くないわね〜〜」
「そりゃ、あんたも」

正直な話海老原が女に対し
こういう態度を取るという事は稀有なのだ。
普段は誰に対しても感情的になる事すらなく
軽くうわべだけであしらう。
海老原の手がの頭を軽く叩いた。

「ちょっとちょっとー!?あたしあんたよか年上よー?」
「関係ないっスね、小っちぇえし」
「それこそ関係ないよね!」

が海老原の前に姿を現した理由は
とてもくだらない事だった。
何か結構男前がいるらしいよ、
そんな噂を鵜呑みにしのこのこと姿を現しただけの事。
余りにも慇懃無礼なその態度に
海老原もついペースを崩してしまう。
そのまま案外話をするようになっていれば
は前田達とも仲がいい事が判明した。

「あ!海老原テメエ!!」
「又るせェのが来たよ・・・」
「ヒロト君」

は廊下の反対側にいるヒロトに向かい
大きく手を振っている。
お前ら本当に仲いいよな付き合っちまえよ、
冷やかし半分にそう言う先輩方を見ながら
海老原はひとつだけ知っている
の秘密を握りつぶした。









【ちょっと聞いてくれる海老原】
【は?何だよんな時間に・・・つーか寝てたんだけど俺】
【寝てる場合じゃないって、ああ、もう】
【んだよ、どーせ又喧嘩でもしたんだろあの人と】
【だってあたし絶対悪くないし!!
何?これが潮時って奴なの!?】
【知らねーよ・・・】

俺が。
知るわけ。
ねーだろバカ。









はあの例の四天王、
その内の誰かと付き合っているらしい。
無論前田以外の三人だ。
その事実を知っているのは海老原だけだ。
ここ最近のは口を開けば愚痴ばかりだ、
ほとんど聞いてはいないものの気は滅入るし面白くない。
別れるかも知れない、
本当はそれを切に願っている自分がここにいる。
まだこの思いははっきりと確立していないではないか。
ああもういっその事。を恨もうか、だなんて。







なぁ
あんたが時折見せる半端な、それこそ中途半端な希望な。
いっそ全部失くせよ希望なんか持たせんじゃねェよ馬鹿、
死ぬほど俺が惨めで。んであんたは残酷だよな。

こういう思い違いって有りふれてると思うよ
四天王はお好きな方を。