I CAN'T

「もー一体どこ行ってたの!?」
「いや、ちょっと前田さんがよ・・・」

約束の時間に遅れた勝嗣達を叱っているのはやはり和美だ。
電車内で乗り合わせた海老原と石松は
どうやら前田達を追っていたらしい。

「海老原君達もこういう所来るんだね、」
「いや、結構来ますよ」
「あう」
さんこそ何か・・・」
「似合わないって?」
「いや、そーじゃなくて意外っつーか」
「やっぱそうなんじゃん」

やっぱアレ狙いっスか?
海老原達の狙いは例のプリクラらしい、達もそれだ。
やはりそれも発端は和美と勝嗣のプリクラ―
一体何が流行るのか分らない。

「葛西の野郎・・・!!」
「え?」
「又何かあったの・・・?前田君」
「いや、違うって千秋ちゃん」

心配するのも馬鹿馬鹿しい話だって、
何だと米示!!
前田は相変わらずの状態だ。
詳しい話を聞きたいが
と葛西の関係は未だ誰も知らないし
(唯一の例外が坂本くらいだ)
しかし気になる。
大体葛西もあまりこういう場所が似合わないというのに
一体何をしているのか。

「もう早く行こうよ!!」
「わーったわーった」

ふと気づけば嫌に大所帯、
ちょっと待ってこの人数でプリクラ撮るの・・・?
得体の知れない不安がを襲った。









リンの写真(厳密には違う)から何とか逃れた葛西は
それとなくプリクラを眺めていた(意外に几帳面)
恐らくと撮る時の為のリサーチだろう。
同年代の女ばかりが屯するそこ―場違いな感は否めない。

「撮りたいのか・・・?」
「あぁ!?」
「いや、さっきからずっと見てるから、」

怪訝そうな顔を下げた坂本が葛西の反応に驚きポツリと呟く、
あれ最近人気あるんだよな。
何でお前がんな事知ってんだよ、葛西がそう言えば
何回か撮った事あるから、と。
「・・・誰と、」
「いや、知らない」
「は?」

たまに入って下さいってしつこい時があってさ、
意外に何をしているか分らないものだ。
しかし坂本という男、
そんな時に撮ったプリクラは持ち合わせていないらしい―
今現在ある種レアなそれはどこをどう流れている事だろう。

「けど野郎で撮ってもな?」
「・・・ああ」
「あ、けど葛西―」
「何だよ」

もう遅いぜアレ。
坂本の指差した先(今回二度目)にはリンと西山―
そうしてその二人に無理矢理連衡されている牧山が
ストロボ使用のプリクラの前に。
先ほどから女子高生の長蛇の列が出来ていたあれだ。

「何やってんだよ・・・」
「葛西!!坂本!!」
「デケェ声で呼んでんじゃねーよ!!」
「いいから来いって!!」

只でさえ目立っている青い学ランの集団、
ハイテンションのリンに
大声で名を呼ばれた葛西と坂本は
勢いよく三人のもとへ駆け寄った。









どうやら葛西達がパンチングマシーンの所にいた時から
牧山は一人で順番待ちをしていたらしい、
よほど目立っただろうが今更ではある。
牧山は些か消沈した感じで佇んでいた。

「お前な・・・」
「撮ろうぜ!!」
「嫌だ、」

どうせお前のナントカ記念〜だろ、んなもん撮ってられるか、
意外に手厳しい坂本の言葉に一瞬怯みかけたリンだったが
今日だけは譲れないらしい。
(別に例の彼女とは口を利いただけで
他には何一つ進展がないにもかかわらず)
葛西はどうなんだよ!!突然振られた話題―
何となく機械の構造を眺めていた葛西
はリンの話など聞いてはおらず。

「・・・?」
「なあ!!」
「いーんじゃねーか・・?」
「葛西!?」

お前いいのかよ、驚いた坂本を見た葛西は
そこでようやく己の発言の意味する事に気づく。
しかしリンと西山は既に中に入っており
割カンでいいよな!?等と話をしている。
今更止められない。

「葛西さんこういうの好きなんですか・・・?」
「好きじゃねーよ」
「・・・・・(そりゃそうだよな)」
「中入んだろ、」

葛西に促され牧山も素直に中へと。
一人釈然としない様子の坂本は
小首を傾げつつも葛西の後に続いた。








「これこれ!!」
「デケーっスね」

前田達はようやくお目当てのプリクラの前に、
ここに来るまで奥の方にある基盤機体のある場所で
何故かしら高得点(シューティング系)を上げている
鬼塚の集団に遭遇したり(それはそれで非常にレアだ)
数百枚のプリクラが張っていあるボードに
薬師寺のうつったプリクラを発見したり
(相変わらずの三人組だったが)
と色々な衝撃に遭遇したのだがは未だ葛西と遭遇出来ず。

「あ〜中人入ってんな、」
「待つか、」

黒い集団はやはり浮いていた。

しっか本当に一話が長い!
坂本が一番好きでね・・・