NOT ANYMORE

フレーム等を念入りに選んでいるリンの背後、
葛西は何気に(重要)操作を見つめていた。


「これだけは止せって!!」
「何でだよ!」
「いや、これ可愛らし過ぎますよ・・・」
「俺とあの娘の運命を・・・」
「まだ始まってねーだろ」
「ああ!?」


恐らくあまり使用されてはいないであろう酷く可愛らしいフレームは没に、
結局は坂本の言い分が通り(こっちの方が後から色々書き込めるだろ?)
ノーフレームに落ち着いた。


「もうちょい向こう・・」
「つーか葛西そのまんまかよ!」
「あ?」
「俺近すぎじゃねっスか?」


画面上でロゴタイプのキャラクターが残り時間終了を知らせる。 連続で押されるシャッター、ストロボの眩しさは予想以上のものだった。




―葛西嫌がるだろうな・・・


待ち時間は予想以上に長く、そんな時は例の約束事を考えていた。
今葛西を探しに行くとなるときっと出会えないに違いない。
このゲーセンは意外に大きい。


「あ、空いたんじゃない?」
「待ちくたびれぜマジで、」


―やっぱりこの人数で撮るんだね・・・
は立ち上がり機体へと向かう。


「ん?」


丁度入れ替わりになった人々、青と黒の学ランが交差する。


「ああっ!?」
「・・・・・!!!」


本日二度目の顔合わせ。
前田と葛西が互いに何とも言えない表情を浮かべた。




「信じらんねーよな、いやマジで」
「誰だってそうっスよ、」


俺密かに狙ってたっていうのに―そうぼやくのは海老原だ。
葛西達の出現により大きな秘密が漏れた、
何やってるの葛西―
の言葉にその場全員(坂本除く)が固まった。


「今日だってアレっすよ?」


さんと撮ったプリクラ自慢しようと思って―誠二さん達に。
詰まらなさそうに語尾を下げた海老原の視線の先には例のプリクラが。


「もっと楽しそうにうつれよ」
「葛西さんの彼女、初めて見ましたよ俺」
「俺もだよ!!」


坂本お前知ってたのか?リンと前田の声がダブる。
知ってたよ、そつなく答えは坂本は
葛西の言動の理由を知りよほどスッキリしたのだろう、
機嫌よさそうに今し方撮ったプリクラを見ていた。


「・・・何か苦しいよな、画面」
「まー野郎ばっかだし、」
「つーか葛西全部同じじゃねぇ?」


前田は是非それを一枚くれと願い坂本は快く数枚渡す、
おもしれーなコレ!!前田達の笑い声が店内に木霊した。




「あ、出来るんだ」
「おう、」


嫌に手際よく操作を進める葛西を見ながらは些か驚く。
フレームはなしね、がそう言えば葛西は分った、と。
嫌がんないのかな、そうは思うが今更聞く事も出来ない。


「あ、あのさ・・・」
「何だよ」
「嫌がるって思ってたんだけど・・・」
「別に嫌じゃねーよ」
「そう?」


電子音が響きカウントが始まる、一体どういう風にうつろう―
がぼんやりと考えていれば葛西は何も言わずの肩に腕を回す。


「え、」
「前見ろよ」
「あ」


グイと引き寄せられた身体、
葛西にもたれるような形のにシャッターが下りる。
ちょっと葛西らしくなくない―!?
驚きの表情、数枚は確実に葛西を見上げているだろうと。


「どこ見てんだよ」
「えっ・・!?」


ふと見下ろされたは息を飲みこの時点で何枚が無駄になったのか―


「葛西!!」
「あ?」


グイと引かれた胸元、身体を曲げた葛西の頬にが軽く口付けた。




この時プリクラを自分で取っていなかった葛西には
出来上がったプリクラがどこに出て来るのかは分りはしない、
勢いよく驚いていたは未だ動けずにいるし
(それよりも葛西が不意打ちに似た形で
頬にキスされた事の方が互いに驚きかも知れないが)
葛西とのプリクラを見たがっている輩が
今か今かと出来上がりを待っている事など中の二人には知る由もないのだ。

何故これをUPしきれていなかったのか・・・
スイマセンでしたーーーー!
そうして、時代が古い!