サマアネイテイヴ- RETURN!

見上げればの腕を掴んでいる男達よりも
遥かに体格のいい男がいた、
何!?真打登場!?
只何も分からずはその場を見守る。

「何だテメー!!」
「みっともねー真似してんじゃねーよ」
「ああ!?」

遠巻きに見ていた数人が近寄ってくる、
有難いんだけど非常にまずくないですかこの状況、
の不安もよそに男は微動だにしない。

「行け、」
「あ、でも・・・」
「他人の心配なんかしてる場合じゃねーだろ」

確かにその通りです、
はようやく解放された腕を摩りながらバッグを取る。
でも多勢に無勢って言うじゃない―
躊躇していれば自ずとこの彼にも迷惑がかかるだろう、
しかし。

「何やってんだ、河埜」
「・・・・・・・・」
「何?その娘口説いてたのかよ」

馬鹿じゃねーのかテメーは、冗談冗談、
笑いながらそう言う男(何となく赤星に似た髪形だ)は
の顔をまじまじと覗き込み
はどう反応してよいか分からず数歩引いた。

「彼女、」

とっとと行くんだな、おいおい渋いねー、金髪が笑う。

「あ、あの・・・」
「何なら俺が、」
「馬鹿言ってんじゃねーぞ淡口」

さり気なくの肩に腕を回した淡口を
軽く嗜めた河埜はを見る。
そうして早く行けと、
有難う御座います―軽く会釈しは足早にそこを後にした。









嫌な鼓動の打ち方をしている、息苦しいようなそんな感触が。
ごめんなさい―
今になって名前も聞いていない事に気づき我ながら愕然とした。
恐らく、きっと怖かったのだ。

ちゃん!」
「え・・・・」
「探したって、マジで」

蒼白状態のを見つけたのは岡田でありその後には新庄が続いた。
何かあったのか、口元を押さえたは新庄を見上げた。

「あ、あの・・・・・・・」

事の詳細を出来る限り忠実に口にした
今更恐ろしさが身に染みたらしく顔を強張らせる。
一人でウロチョロしない方がいいな、
新庄はそういうとの頭にポン、と手を置き
宥めるように髪を弄った。

「怪我とかは?」
「いや、ちょっと腕が痛いくらなんで・・・」
「見せてみろ、」
「あ、」

確かにの右腕、手首辺りは赤くなっている。
どいつだよんな事したの、
岡田はそう言い辺りを見回すが見当たる道理もない。

「怖かったろ、」
「あ、ちょっと・・・・」
「大丈夫、もう大丈夫」
「ああ、」

少しだけ泣きそうになったが堪えた。









花火の時間に合わせ一度はバラついた皆がようやく集まった。
一度の承諾を取ってから
岡田と新庄が事の詳細を的確に伝える。

「だっ、大丈夫かちゃん!?」
「勝手にうろつくからだっつーの、馬鹿」
「お前そういう言い方ねーだろ!!」
「何もなくて本当よかったなーー!!」

もうじき打ち上げ花火が開始される、
ひと時の安堵を抱いた
やはり自分を助けてくれたあの男達が気になり
どうにかお礼をしたいと。

「おい、遅せーんだよ!!」
「ったく面倒巻き込みやがって!!」
「始まんじゃねーの?え?まだ?」

突然現れた騒々しい集団、
思わず振り向いた一行が目にしたのは。









「・・・・・・・江夏・・・・・」

両者動きが止まりあの試合後の沈黙が流れた。
ニコガクにやられたあの試合、あの試合後変わりはしたが。

「・・・・・・・あ!」
「お前・・・・・」

がグロカワの集団に駆け寄る。
やめろってちゃん!!
誰ともつかず声をかけるが
それと同時に花火が打ち上げられた。

「大丈夫ですか?」
「心配する事ねーぜ、」
「本当に有難う御座いました、」
「つーか、」

ニコガクの生徒かよ。
バツの悪そうな声を出した柴田は一人
ニコガクか〜〜そりゃちょっと辛ェよな〜〜等と
余計な心配をしているし
江夏は未だ安仁屋と視線を交差させている。

「気、つけろよ」
「あのさー名前何?」
です、えっと・・・」
「俺?俺中畑」
「有難う御座います、中畑さん」
「俺淡口な、ちゃん」
「淡口さんも・・・」

一人グロカワ相手に親しく話を進める
背後の不穏な気配等微塵も感じてはいない、
結局苛立ちを隠せないニコガクの面々の手前
新庄が歩み出ての肩を叩いた、が振り向く。

「・・・・・世話かけて悪かったな、」
「・・・・・・・別に」

お知り合いなんですか?
の問いに答える事等誰も出来ず―
只花火は例の如く非常に綺麗だったらしい。









数週間後―


「あ、メールだ」
「誰から?ちゃん」
「えっと・・・・・」

江夏さん。
の言葉に部室中の人間の動きが止まった(塔子談)

半端なく長え