互いを伺う眼差しを持ち合わせれば信用なんて言葉はなくなってしまう。
エースが花を持っていた。余り美しくはない花だった。
すうっと息を飲み込めば花びらは容易く砕け散ってしまい茎だけが残る。
エースが僅かに悲しそうな表情を浮かべた。
陰りのせいかも知れない。思い違いか。どちらでも。
そもそもはエースを強く拒否したのだから
何も始まらない予定だったのだ。
彼が壊す事を主とさえしていなければ。
の意識をいとも容易く破壊したエースは遠慮なしに入り込んで来た。
「嫌よ、もう嫌よエース」
「何でまぁ・・・女ってのはこうも聞き分けがねェんだ」
「あんたのその言い分もうんざりなのよ」
「可愛くないねェ、」
最近は毎日がこんな言い合いで
いよいよは疲れきってしまっている。
断ち切れども又繋がれる、
壊すだけならば具合がいいのにエースは修復さえも請け負う。
性質が悪い。
感情さえ断ち切ればどうすればいい、どうなる。
そんな結果は火を見るより明らかだ。
それでもそう出来ない理由は始末の悪い感情のせいで
どうにも手に負えない。なきたくなる。
「こんなに手が冷えちまって」
「触らないでよ」
「俺があっためてやりてェ」
「離して」
エースの手の中でぎゅっと縮こまった
の指先は悴んでしまっている。
寒くて寒くて、そうして冷えて痛む。
何だか幸せな話がないなあ昔から。
このエース君に関しては。