僕らはこうして夢を得る

本当は何を求められているかなんてとうに分かっていて
それでも終始無視し続けようと心に決めた。
恐らくはだからこんな事態に陥っているのだし
エースも後に引けなくなっている。
好きになさいよエース、
こんな雰囲気の充満している室内だからこそやり続けられるのだ。
は目を閉じている、エースは水を飲んでいる。
は疲れきっている、エースは病みきっている。
余り、大差はない。









最期まで残るのが羞恥でそれがなければセックスの重要度も意味もなくなる。
自由の利かない身体はそれこそ周知の対象でエースの対象にもなる。
編み目の粗い縄できつく縛られた腕はしびれさえ伴い
の頭上で色を失った。
とても喉が渇いているのだが口にしたものといえば
エースの精液くらいだ、やはり喉が渇いている。
始まりは何だったのだろう、
妙な言い争いが原因だったような気がする。


「なぁ、」


何回イった、の目前に座っているエースがそう囁く。
意識さえ朦朧としているはようやく目を開きそうして又瞑った。
事実覚えていない、多少なりとも痛みを併発する。


「足、開けよ」
「・・・・・」
「な、」


大して力も入らない両足にエースが手を添える。
は力なく首を振り一応抵抗を見せるが
ここまで体力を奪われてしまっていれば意味もなかった。
エースの手によりの足が開かれる。
濃い体液の香りが漂った。
恥ずかしいと思うよりも疲れが身を攻める。
エースが見ている、開かれた性器を見ている。
好きに見るがいい。


「・・・まだヤるわけ」
「あぁ」
「あたし、疲れてんだけど」


の性器を覗き込みながらエースが指を無造作に突っ込んだ。
火傷に似た強い熱さと痛みが沸く。
どの道この男に通じる道理がない。
他人の痛みなんて当事者以外分かりはしない。


エースが何事かを喋る度に吐息が中身に触れる。
痛みはじきに麻痺し指の動きだけが残る。
快感を伴わなければ只の不快感と化す。
感覚が腰から下を支配した。
腰を揺すりそれを誤魔化そうとするが
左右に固定された足はまったく動かずは息を飲む。
エースが性器を弄っている。


「ちょっと・・・」
「死体とヤってるみてぇ」
「痛い」


この部屋にはとても濃い瘴気が充満している。 ぐったりと半ば意識を失ってしまったを片手に抱きながらエースは渇きを潤す。
何度同じ事を繰り返しても同じだ。
動きを封じてしまえば次は何だ。
そうだ次は自分しかいないという事実をに突きつけてやろう。
エースがそう思えども既には別の事を考えているのだし、
お願いやめてよエース、の乞う様な声ばかりが頭の中に鳴り響く。
とても興奮する。 彼女の口から毀れる声さえも自分の都合のいいように解釈する。

昔のやつをリメイク。リメイク?
倦怠期の話か。