赤の爪

喜助に彩ってもらった爪を見せびらかしながら
ギンを見つめればギンは素っ気無い反応を示す。
そうして何も見てはいないかのような反応を。
爪になど視線はいかないといわんばかりに。


はそんなギンの顔色を伺いつつ次の出方を待つ。
顔色一つ変えないギンは何を思っているのだろう。
なにをおもっているのだろう。


「あたしあんたの事愛してるなんて言えないわ」
「何で」
「好きじゃないから、」


そういうのが。
素っ気無い口調でそう言えば
ギンが不機嫌そうな眼差しを垣間見せる。
恐らくはわざと。
感情なんて持ち合わせないように装いながら
酷く激的な展開を求める子供に似ている。
あたしのおうじさまはいったいどこに。


、」
「何」
「そういうトコ、治さな」
「何?」


子供や、お前はずっと子供のまんまや、
ギンはそう言い呆れたように笑った。


愛する人なんてどこにもいないのだ。
そうして離れようとすれば愛していると泣き喚く、縋る。
繋ぎとめておきたいだけだ。
置いていかれる事だけが恐ろしいから。
一人にならない為にならば愛していると信じても不備はない。
あいしている。あいしている。あいしている。誰を。


「・・・好きにしてよ」
「はぁい」


喜助には決して見せない投げやりな態度を見せた
詰まらなさそうに天井を見上げた。

最近ギンが出てきたので(本誌)