フヨウナ熱ノショウジルカラダ-年頃故要注意

調理実習のあるクラスは二クラス、
調理実習とはいえども名ばかりで各自好き勝手なものを作っていた。
が江夏と付き合っている事を知っているのは例により塔子、
そうしてあの対グロカワ戦後に江夏に走り寄った
(無論皆自分を見に来ていると思っていた)
を目の当たりにし驚愕の事実を掴む事になった
ニコガク野球部の面々―


「何作ってんの?」
「あー邪魔、湯舟邪魔!」
、シナモン取って」
「シカトかよ!!」
「うるっさいっていうか邪魔なのよ!!」


毎回この湯舟を筆頭に安仁屋辺りからは言われ続ける、
あいつ俺よかヒデーぜ、マジで。
安仁屋以上だなんてそんな馬鹿な。しかし。


「あ、
「ちょっと塔子、安仁屋が邪魔するんだけど!!」
「・・・知らないわよあたし・・・」
「いーから!」


こっち来いって。
一階に位置する調理室の右手は中庭に面し
安仁屋達御一行はそこに屯している。
大体が呼ばれロクな目に遭っていない
酷く渋りながらもそこへ。
近づけば近づくほど視線が集中を。


「な?言ったとーりじゃねーか」
「マジ?」
「流石俺、」
「ちょっと・・・・何よ」


少しだけ引き腰のが怪訝そうな眼差しを向ければ
ニヤリと笑った安仁屋がの腕を掴んだ。
ちょっと一体何なのよ!?
わけの分からないまま引かれた身体。


「な?」
「あ、マジ」
「ちょっ・・・・!!!」


第二ボタンまで開けていたシャツを
鎖骨辺りまで開けられ(安仁屋により)
露にされたの首筋、突然の事に言葉すら出て来ない。
ふと気づけば皆そこを見ているしその他の生徒に至っては
同様固まってしまっているらしい。
教師もそれと同じだ。


「あ・・・あ、あんた・・・!!!」


一体何してくれてんのよ!!
振り上げた手は空振りを。
その輪の中に入っていなかった新庄が笑う。
一体誰を先に制してよいのかも分からずやはり
一番は安仁屋だろうと。


「痛ってー!痛ってーって!!」
「馬鹿!!」
「話聞けよ!!」
「何!?」
「お前さ、」
「謝れよ!先に!!」
「最近江夏と上手い事いってねーんじゃねー?」


乱れた髪の間から覗く安仁屋の目、の手が動きを止める。
一体何を根拠に、いやそれよりも
上手い事いってないわけじゃないのよ只―
言い訳になりそうでこれは少しだけ怖い。


「マジ!?」
「あーそりゃよかったぜちゃん」


桧山が口を出す。
あいつ鬼だったしな、ここにいた時とか相当酷かった―
そもそもと江夏の関係を知ったこの男達は
ここぞとばかりに二人を別れさせようとするし
自身江夏の元彼女が
どういう人間なのかは知っているつもりだった、
分からない知っていると思っているだけなのかも知れない。


「俺にしとけ、」
「安仁屋・・・・」
「あいつよかマシだ、」
「お前大して変わらねっつーんだよ!!」
「だったら俺だな、」
「いやいや、」
「いやいや、」


のゲージが最高潮を向かえ
それとなくその場を避けた新庄と御子柴、
あんた達いい加減にしなさいよ、
胸元を正したが息を吐き出した瞬間―


!!」
「何!?今それどころじゃ」
「携帯鳴ってる、」
「こっちが先!!」
「江夏君から」
「え?」


早朝の別れは最悪のものだった。
江夏からのメールも返答なしを貫いた。
そう、確かにそれはの方が先だ。
皆が言うほど江夏は酷くない、以前の彼とはまるで違っている。
だからといってこの状態で江夏側からの音沙汰が
消ええてしまわないという確証もない。
は携帯を取った。













『・・・・・・何?』
『お前今大丈夫?』
『は?』
『裏門に来いよ』
『いや、あんた何してるの?』
『何もしてねーよ来いよ』
『いや今授業―』
『何?電波悪りー聞こえねー』
『ちょっ・・・』


当たり前のように切られた携帯を片手には溜息を。
まったく今日は何て一日なのよ―
辺りに身勝手な輩が多すぎる。
安仁屋達はじっとの出方を待っているし(それが尚更苛立つ)
そもそもニコガクには口を出さないまでも
近づきたがらない江夏が何をしに来ているのだろう。


「行かねーのかよ、
「行くわよ!!」


真四角の空が覗きは中庭に駆け出る。 そうして裏門までの間メールの返信をしなかった言い訳を考えた。

何て自由な校風なんだ