フヨウナ熱ノショウジルカラダ

コンビニでたまたま柴田と淡口の二人組みに遭遇してしまった。
遠目にもやけに柄の悪い二人組みがいると思いながらも
はコンビニに入りそうして突如腕を掴まれ今の事態に陥る。
最悪、最悪よこれは―
江夏の友人らしいこの二人は掴み所がなく些か苦手だ。


ちゃ〜ん」
「あ、柴田、君・・・・」
「何やってんの?ここで」
「淡口君・・・・」


たまたま江夏が今はまっているらしいとある飲料水(何故だかサプリ系だった)
を買って江夏宅に向かおうとした所こんな二人に出会ってしまった。
江夏の家の近くにあるこのコンビニに二人がいるという事は酷く稀有だ―
少しの間江夏と顔を合わせなかった
(例の事件から対ニコガク戦の間
顔を合わせれば喧嘩をしていたような記憶が)
間に何かあったのだろうか、まあ今はそれどころではないのだが。













「何?あーそれ江夏にだろ、」
「あいつまだ飲んでんのかよそれ」
「あ、あの・・・」
「つーかちゃんこれ買って」
「え!?」
「あ、俺これ、これ、これも」
「ちょっと・・!!」


わけの分からない駄菓子を
籠に放り込む二人を止める術などは持たず
柴田と淡口はそんなを面白がるように行動を進める。
ちょっとマジ勘弁勘弁、店員が視線を送れば
何見てんだよ、淡口が叫ぶ。
柴田は柴田でチロルチョコを全種類制覇しようと目論むし
淡口はうまい棒を―
これあたしが清算するの!?客も遠巻きにを見ている。


「でも、」
「スゲー偶然、マジ偶然」
「いや、あのね、」
「やっぱ買えねーし、俺ら」
(恥ずかしいのかよ!)
「ああああ・・・!!」


そんな折ふと肩を叩かれは振り返る。
定刻過ぎても家に来ない(携帯、メールも返答なし)
に業を煮やした江夏が迎えに来ていた。













「だ〜から知らないわよ!!」
「は?は?」
「大体あんた何で怒ってんの!?」
「誰が?怒ってねっーつーんだよ馬鹿」
「怒ってるじゃない!!」


あの後江夏により強制的に連行された
(馬鹿が何やってんだよお前、そう言いきった江夏は
籠を二人に押し付けコンビニを出て行った)
は江夏宅、江夏の自室にいた。
家までの道のりの間江夏は一言も喋らず
只強引に引かれる腕だけがやけに熱かった。
これから起こるであろう修羅場を予想する。


「大体何であんたが怒るの!?」
「は?怒ってねーよ」
「あたしが迷惑被ってるってのよ!!」
「ああ!?」
「アレ(柴田&淡口)あんたの友達でしょ!?」
「アレ(柴田&淡口)はどーだっていーんだよ」
「危うく買わされるところだったのよあたしは!!」


この時点では知らない。
あの時のアレ(柴田&淡口)の行為がとある目的の為に行われていた事を。
江夏自身は何となくその企みに気づいており尚更苛立ちは募る。
ああ、
畜生。


「つーかお前何であいつらと・・・」
「あんたが買って来いとか言うから!」
「あー・・・」
「大体こっちが迷惑だってのよ・・・」


折角家に呼んだのに(しかもこんな時間帯に)気分を害した
江夏が手を伸ばそうとも無下にそれを払うしキス一つさせはしない。
何とか引きとめはしたものの
(後が乗るべき電車の終電がその引止めの間に過ぎてしまった)
は依然機嫌を直しはしない。
クソあいつらふざけやがって―
一人ベッドに寝転んだ江夏は
TVを見たまま背を向けるを見つめながら
悶々とした夜を過ごした。













翌日グロカワ―


「お、江夏来るぜ、」
「お前ら又―」


呆れたように河埜が溜息を吐きその隣で中畑が苦笑いし
遠巻きにも嫌に不機嫌そうな江夏を見る。
ニヤニヤと笑う例の二人を横目に
一瞬苛立った眼差しを向けた江夏は
特に何も言わず―淡口が柴田を唆す。


「河埜、」
「何だ」
「今日の部活―」
「あ、ちゃんからメール」


部活の事を河埜に聞こうとしていた江夏の動きがピタリと止まる。
普段大声の柴田がそれよりも大きく叫んだの名前、
今朝方別れた後メールを送れども
一向に返ってこないからのメール。
ゆっくりと立ち上がった江夏が柴田を一瞥すれば
二つの顔が笑っている。


「何だよ江夏、」
「・・・・クソ、」
「妬いてんのか?ギャッハッハ!!!」
「るせーんだよ、クソ!!」


柴田ごと蹴り上げた椅子、咄嗟に飛び出した教室。 江夏が向かう先は。

どんな中篇だ。
グロカワのこういった絡みは好きでした。