突き抜けるロードウェイ

今を求めてはおらず只思い出だけを求めていたように思えた。
なぁこりゃ思い出になると思うかおい。
細い煙草をくわえたまま
だるそうにそう囁くドフラミンゴを横目に
はハンドルを握る。
どの道生きるか死ぬか、簡単な二択しかない上
セレクションはモアベター。
俺様な彼は唯我独尊を守り抜く。


「ちょっと何よそれ」
「あ?」
「チューナー壊したでしょ」
「バーカ、」


壊したんじゃねェ改造したんだよ。
ノイズの多いラジオが流れ出す。
こんな男には二度と巡りあえないだろう。













永遠にお前を愛する。
酔い紛れにそう告白したドフラミンゴの言葉は
信用度ゼロでありそれをそのまま鵜呑みにするほど
も可愛くはなくそれでも互いに
目を合わせ理解しあったふりをした。
ドフラミンゴの我慢できない展開といえば
温くなあなあになってしまう事だ。
この馬鹿でかいキャンピングカーを転がし
海の見える場所まで向かう。
サボテンの笑いかける道のりばかりを下って行けば
隣に座り下手なギターさえ弾いていたドフラミンゴが
運転を交代せず愚痴った。
暇じゃねェか、随分とな。
もうじき街が見えるわよ、
はそう言い残り僅かな煙草を吸った。













一人で旅をするにゃちと淋しいじゃねェか、
お喋りする相手って奴が欲しかっただけだぜ俺はお喋りだからな、
を道連れにした理由をドフラミンゴはそう言い
もそれはそれで納得した。
ドフラミンゴはふと姿を消すのかも知れない。
満たされないふりをしているのはお互いさまであり
今よりももっと、現状に満足しないままであれば
もっともっと大きな幸せを手にする事が出来るのかも知れないだなんて
欲に塗れた希望的観測を抱いていた。


ドフラミンゴが勝手に改造したラジオはそのままにしてあるが
この車は二度と動く事はない。
エンストの結果港町に住み着いた
そこから大海原へと旅立ったドフラミンゴ。
あれからどれだけの歳月が経過したのだろうか。
何となく暮らしていれば
海軍がやって来ここはとても栄えるようになった。


「え?」
「知ってるか、だろうな」
「何よそれ」
「七武海」


店の常連客さえ海軍が大半を占め
そこのオーナーになった
一番の馴染みであるスモーカーの差し出した
一枚の写真に食い入る。
いつか会おうぜ、ドフラミンゴが何気なく口にした言葉は
未だ真実にはなっていない。


「コイツ、」
「ドンキホーテ・ドフラミンゴ」
「そう」
「知り合いか?」
「さぁ、」


分からないわ、
は小声でそう呟き写真を指先で撫でた。

ドフラミンゴには荒野が似合うと思うんだ