ブラッキングトークショウ

―ルフィはどこなの・・・・?


しん、と静まり返った部屋に一人通されたはルフィの姿を探す。
どうしてルフィは来ないのか―
それよりもこの屋敷内で何が起こっているのか。
どう見ても互いに仲のよくなさそうな3つの兄弟が
勢ぞろいするとは何事なのか。


「・・・・ルフィ」


ルフィがどうかしたのかい?
思わずルフィの名を口にしたにエースが声をかける。
いたのエース!?はそう思いつつ
どうにかその場を誤魔化そうと愛想笑いを、
エースもそんなに誤魔化される事にした。
サンジは料理を運びゾロは酒を飲む―
エースは何かとを持て成し
例の兄弟は姿を隠したままだ。
時折ズン、と重い震動が伝わる所を見れば
今尚兄弟喧嘩の最中なのだろう。


「ねぇエース、ルフィは・・・・?」
「ああそうだ、お前こんな話知ってるか?」
「えっ、ちょっとエースあたしの話を・・・・」
ちゃんグラスをどうぞ」
「えっ!?サンジ君!?いや、その・・・」
「おい、こっちに来いよ」
「いやゾロあの、ルフィは・・・」


がルフィの所在を聞こうとすれば
誰かしら邪魔をするように話を遮り
はルフィの話を聞けず仕舞いだ、
はどうしようと考える。
どうやらようやく猜疑を抱いたに皆気づいたらしい―
エースが一声上げた。


「コックさんと剣豪、ちっとばかしいいか?」


サンジとゾロは視線だけをエースに向ける。
息を飲んだはその様を見守るだけだ。
そのままエースは部屋を出、
そんなエースに続くような形でサンジが、
最後にゾロまでも部屋を出て行き
は一人その部屋に取り残された。














テーブルの上には酷く美味しそうな料理が贅沢に並んでいる。
はゆっくりと音を立てないように立ち上がった。
絶対に何かがおかしい、兎に角ルフィを探さなければ―
は部屋内を右往左往し
何か揉め事に巻き込まれるのではないか―
至る所で起こっている喧嘩を思い出す。


「何か・・・・やっぱここはマズイわよ、絶対」


逃げ出すのは失礼だと思いつつも心は既に逃げ腰だ。
は通路への入り口になるドアに近づく。


・・・・!!!」
「え?」


自分の名前が叫ばれた気がし
は思わずドアに耳を近づけた。













を頂くのは俺だ、テメェは指銜えて見てな!!!!!」













案の定だ!は部屋を飛び出す。
誰の声かはよく分からなかったが
今までの経緯を考えればあり得そうな事態だ。
リビングから消えた三人は未だ戻らず、
玄関入り口の階段で争っていた二人も姿を消している。
後少し、もう少しで外に出られる―


「あっ!?」


ドアノブまで後一歩の所で
ショウは何かに蹴躓き倒れ伏した。


「ル、ルフィ!?」
「ん〜??」


に圧し掛かられたルフィはそれでようやく目覚めたようだ。
こんな所で一体何をしているの!?
がそう問えば寝てた、と。
どうしてあたしを置いて寝ちゃうのよルフィ―
ああそれよりも早くここから逃げなきゃ、は一人捲し立てる。
上手そうな食いモンがあったから俺、それ喰ったんだ、そしたら何か・・・
どうだっていいからルフィ、早く!!
はルフィを半ば引き摺るようにして
屋敷の外に飛び出した。













はルフィの腕を掴んだまま離さない。
屋敷の外へ出て少し走った辺り、
村への細道に入りかかったところではようやく足を止め、
そのままペタンと座り込んだ。


「どうしたんだ?


は何も言わず只々ルフィの腕を掴む。
ふと視線に気づき館の方を振り向けば
5人の姿が各部屋の窓にうつっていた。


「ル、ルフィ・・・!!」
「あれ?あいつらな〜にやってんだ?」
「あたし、立てない」
「うん?」


縋るようなの目、ルフィは困惑する。
何かを喰えば眠くなった、
目が醒めればは自分を連れ逃げ出した―
がルフィに向かい両手を差し出した時に
5つの声が一斉に言葉を発す。













!!オメェを捕まえたら、喰ってやったのに!」













「はぁ?」


一人わけが分かっていないルフィに
は早く逃げよう、と。
おお、曖昧な返事を返しながらルフィは
を抱き上げその場を離れた。

グリム童話か何かをベースにしたとしか思えない。