ぼくのこころははてなくしずむ

あンたはあたしが好きだって言ったら
どうするんですかね、
あたしがあンたを欲しいって言ったら
一体全体どうするんでしょうかねェ。
儚くも散るであろう思いを
抱き続けるような柄ではないはずだ。
散らせなければいいだけの話、
そこまで不器用だとは思わない。
を誘いどこかへ抜け出して
そのまま帰らないという選択肢もありはする。
きっとは即座にでも帰りたがるだろう。
もしかしたら隙をついて逃げ出そうとするかも知れない。
それならそれで構いはしないと喜助は思う。
そもそも自分といる時はまったく喋りはしないの事だ、
頑なに口を閉ざすか或いは俯いたままか。
どの道一緒にいられればいいだけなのだから
余り興味はない。言葉なんて。
朝が来て昼が来て夜が来る。
それが延々と繰り返される。
そんな生活の繰り返しの何が悪い。
一体何が不満だ。


「さて、と」


深く被った帽子の下から覗く喜助の眼差し、
その先には彼方を歩くの姿が映る。
パチリと扇子を閉じた喜助は些か乾いた唇を舐めた。

喜助のイメージはこんなんです