やみふる夜

先ほどから怠慢なエースは
ロッキングチェアーに揺られながら窓の外ばかりを見ている。全裸で。
そうして大差ないも唇の端から零れ落ちる雫を
気にもかけず温い水を飲み干した。全裸で。
どうやらこの室内には悪い空気が充満しているようだ。
油の腐った臭いに似ている。
やっている最中に涙を落とした理由は簡単だ、
あんたがあんな事言うからよ。
別れの言葉を頂いた、挿入中に。


「・・・」


何も喋らないなんてあんた本当に最悪ね、
唇を噛み締めながら胸の中でそう吐き捨てても意味はない。
エースに対して抱いている感情は大体がそういった類のものだ。
身体だけは全部あげるわ、心はあげない。
そんな子供染みた台詞、一体誰が信じるというのだろう。
身体を預ければ何れ心も委ねる。
勝手に信頼なんてしてしまうわけだ、挿れられる側に限り。
あたしの穴は一つしかないもの。
もっと犯ってよ。犯りなさいよエース。
あんたに犯って欲しいのよ、はそう思う。
只挿れる側にしてみればこの場合穴なんて幾重もあるわけで
あたしだけにしてだなんて言える道理がない。
そこまで愛されているとは思えない。


「コーヒー・・・」
「・・・」
「コーヒーが飲みてぇな」


エースがポツリと呟いた。

以前書いていたヤツをUP