ブルース・ブルース・ブルース

何て悲しいのだろう。
この世界はもう終わりを告げ周りの言葉は耳にせず一直線に向かう。
何て虚しいのだろう。
心の必要性も意味も全てナシだ、欲される部分を消してしまおう。
ああ、そんな事を考えている内にも
悲しさは、虚しさは、どれだけでも無駄に溢れ出す。
エネルは突然現れた地面の人間により滅ぼされるのだろう、
それに倣いこの国も道ずれにするなんてまったく我侭な神らしい。
は目を閉じる。


「さぁて、」


ここも潮時ね。
逃げ惑う人々を眺めながらが立ち上がった。
ここに来たのはとてもとても偶然の積み重ね、
案外悪い場所でもないと思い永住しようとすら。
しかしこれでは駄目だ、もうここも終わりに違いない。
死にに行く者や逃れようと、
それどころか新しいユートピア再建の為過去を消し去ろうとする者。
色んな人間がいても構いはしない。









「・・・・・取り込み中なんだが」
「あら」


あんたでも取り込んでる時なんかあるのね。
ふ、と舞い降りたに向かい幾分汗をかいたエネルはそう告げた。
取り込み中も何も船は動き出している、
趣味悪いわねあんた。
がそう言えばエネルは面倒臭そうに頭をかいた。
この女だけは喰えなかった。
どこから沸いて出たかも分からずマントラを覚えている道理もない。
だけれどもはマントラを操りエネルの術には嵌らなかった。
しかししかしは邪魔をする事もなく
只居ついているだけだったのだから害はなかったと思える。
只、今ここに来られては幾分迷惑だ。


「どこ行くのよ」
「さて、お前の興味を引く場所ではないだろう」
「ま、そりゃあ、ね」
「お前こそ何処へ行く」
「それこそあんたの興味、引かないでしょ?」
「それもそうだな」


一緒にドライブにでも、こんな空の上じゃなくて埃臭い荒野にでも。
きっとエネルには荒野がどういう場所なのかも理解出来ないだろう。
この男は空の上しか知らないものだから。
久しくエンジンオイルの香りも嗅いでいないし
焼けるような暑さも感じていない。
そう考えればやはり潮時なのかと思いは首を振った。
これは、淋しい。


「ちょっとそこの神様」
「それは私の事か?
「そうよ、あんた神様なんでしょ」
「違いない」
「だったら、」


こんな事とっとと終わらせて一緒に遊びに行こうじゃないの。
の軽口はそう吐き出しエネルに向かい手の平を差し出す。
舵に手をかけたエネルはそんなに一瞥をくれ瞬きを一つ。
少しだけだがの目に翳りが。


「・・・悪くはない」
「当たり前よ」
「それも悪くはないな」



エネルの声がゆっくりと静かにそう響いた。
は今度こそ何も言わず頷く。
叶う事のない願いだという事は分かっていた、それこそ百も承知だ。
だからそれ以上は何も言わずは姿を消す。
最後は緑色した剣士が無粋な視線をお空に向けたまま
倒れている姿を目にして地上に降りた。

再UP。 緑色した剣士、っていう言い方は決して適切ではない・・・
それよりもこのファイル(書く時はWord、書いた後保存メモ帳)
の名前が何故か【かきごおり】なのは何故だろう。
まあね。私の舞台設定及び時間設定は滅茶苦茶だって事さ。