ヂヤッヂ

スモーカーを連れ逃げ出した。
彼は何も言わなかった。
呆れていたのかも知れないし、
それ以上に疲れていたのかも知れない。
いつもよりも優しい笑顔を少しだけ残し
手を取られ黙ってついて来た。
の必死さが嫌になる程度には
理解出来ていたからかも知れない。
あたしを攫って。
そう呟いてもどれだけ願ったとしても
スモーカーは決して行動には移さないだろう。
だからはスモーカーを攫った。
何もかも全てが面倒になってしまったのだ。
海軍という立場も責任にしてもそうだ。
いっそ死のうとさえ。
スモーカーは笑う。


「・・・どこに行くんだ」
「どこに行きたい?」
「俺は、どこでも」


出来れば休みてェんだが。
スモーカーはそう言い葉巻に火をつけた。
本当は彼に迷惑をかけたかっただけだ。
困らせてその結果、
スモーカーがどんな行動に出るかを見たかった。
只それだけの事。愛しているから。
本当は少しだけ後悔をしていた。
スモーカーを愛しているから。
全てが自分の思い通りの結末を持っているとは決して限らないから。
何故落胆に繋がる方法を模索する。


「ねェスモーカー?」
「何だよ」
「あたしの事、愛してる?」
「あぁ」
「どのくらい?」
「お前のお遊びに付き合ってやるくらいだ」


遠くに安宿の明かりが見えた。
今日はそこに泊まるとして明日は一体どうしようか。
明日は一体どうなるのだろうか。
いっそ死んでしまいたいと思いながらも
は明日の事を考えていた。

再UP。
結局、何からも逃げる事は出来ないというのに。
そして、それを知りながらも付き合ってあげるスモーカー