DIRT-BOX

結局はキミもボクと同じって事なんやろ?
同じ穴の狢、簡単に言えば似たもの同士。それでいいやないの。
何なの、何か不満なの、、キミは。
ボクはとっても、死ぬほど嬉しいんやけどね。




の縋るものをまずは一つずつ奪って見せよう。
大事な人だとか大事なものだとか、兎に角全部だ。
絶対に一人にはなれない彼女の事、耐え切れる道理がない。
やたら可愛らしい装飾の腕輪は
今も大事に想っているらしい過去の人間からの贈り物。
そんなものに縛られているだなんて、まったく馬鹿らしい話じゃないか。
だからそれはもういらないものだと、ギンははなから決め付ける。


「ちょっと・・・!!」
「何?」
「ありえないし!!返して!!」


毎日左腕につけていた腕輪が一瞬の内に消え去っていた。
我が目を疑いは目前を悠々と歩く男、ギンを見つめる。
彼の指先で遊んでいるのは
が長年大事に付き合っていたあの腕輪であり
ああどうして、が息を飲む。
条件反射的に叫んでいた、返して。


「そんな値ェの張るもんでもないやろ?」
「そういう問題じゃないわよ!」
「うん。キミには似合わんわ」
「ちょっと、」
「こないなもん、こうや」


ひゅっと風の切れる音がしカラン、乾いた音が足元に転がった。
切断されたそれに縋る間もなくギンの足はそれを粉々に踏み潰し、
やたら満足げにの顔を覗き込むものだから尚更腹が立つ。
まったく、これではまるで子供ではないか。
一瞬にして頭に血の上った
後先考えずに掴みかかり毎度ながら後悔する事となる。


「行儀の悪い娘ぉやね」
「あんた、」
「ええよ、」


嫌いやないし。
ギンは動揺する事もなしに
胸倉を掴んだの右腕を掴みかえす。
なぁ、キミとボクは似てるんや、
それこそそっくりなんよ気付いてないみたいやけど。
けどまだアカン、まぁだ全然足りひん。


「何、」
「何、て」
「ちょっ・・・」


迂闊に近づくからやろ?と、いう事はやね。
そらやっぱ、キミが悪かったんよ。
ギンは願わずとも距離を縮めたの身を捕らえ
それこそ永久に離れないようにと。
細腰に腕を回せば
未だ状況をよく理解出来ていない
無理にでも身を離そうともがく。


「何、考えて、」
「何も考えてないんやろうね、ボクは」
「何開き直って―――――」


呆れたような口ぶりと下方から睨み上げるの眼差し。
どんな場合でもどんな立場にいても
決して自分が弱者ではないと言わんばかりの
の態度に少しだけイラついただけだ。
キミは弱いんや、弱いんや
いい加減身の程知ったらどうや。
思い切り首筋に噛み付いた。

再UP。
いじめっ子か。