「嫌だって言ってるでしょ!!ちょっとエース!!」
「悪ぃな、は俺が責任をもって連れまわすから心配するな」
「い〜や〜だって!!」
「お?おい、あの木の影に何か白いモンが・・・」
「いやああああ!!」
エースは笑いながらを引き摺り墓地へと侵入していった。
「おっ、こりゃ年代モンだぜ」
ボロボロに崩れかけた墓標を見ながらエースはに話しかける。
ショウは無言だ。
右手をしっかりと掴まれたは耳を塞ぐ事も出来ずエースを見る。
「・・・・馬鹿」
「何だ?」
「馬鹿エース」
手ぇ離してよ!!
は少しばかり強気にそう言いエースを叩く。
我侭なお嬢さんだぜ相変わらず。
エースは笑いながらの手を離した。
「なぁ、こりゃ人聞きした話なんだが・・・」
「やめてって!!」
は耳を塞ぎその場に座り込む。
そんな所に座り込んでどうする気だい?
そう言うエースには舌を出す。
まぁ〜たそういう事するからなぁ。
エースは呆れたようにそう呟きを見下ろした。
「ずっとそうしてるのかい?」
「エースには関係ないでしょ!!」
「ま、そりゃそうだ。俺にゃ関係ねえ」
俺は行くぜ。
エースはそう言い歩き始める。
ちょっとエース!?
が叫べば軽く振り返り手を振るだけだ。
じゃあな、お化けにとって喰われんなよ?
エースは姿を消してしまった。
「エ〜ス!!」
は一人叫ぶ。
エースからの返事はなく暗く広い墓場内にはの声が響くだけだ。
周囲を取り囲むように鬱蒼と茂る木々、風に靡かれ薄気味の悪い音を醸す。
「エース!!」
他には誰もいない。は座り込んだままエースを呼び続ける。
だってこういう場所嫌いなんだもん、お化けとかそういうの怖いじゃない。
背後ではカラスが鳴きフクロウもつられるように鳴き続ける。
「馬鹿ぁ・・・・」
酷いじゃない、置いていくなんて何考えてんのよエース。
は蹲る。
その時目の前に白く揺れる影を見つけてしまった。
ユラユラと不規則に動く白い、影。
「き・・きゃあああああああ!!!!」
不確かなそれに驚きは夢中で走り出す。
エース、エース助けて!!
恐ろしさで涙を流すのは何年振りだろう、
そんなの姿を見ていたエースは少しやり過ぎたかも知れない。
そう思い姿を現した。
「何!?」
「落ち着けよ、俺だ」
両肩をしっかりと抱かれは我に変える。
今の今まで泣いていたにも関わらず、
エースに対し悪態をつけるところが何ともらしい。
「馬鹿!!馬鹿エース!!」
「何かあったのかい?」
「白いのが出たの!!ボンヤリしてたの!!馬鹿っ!」
「へぇそりゃ珍しい・・・見に行くかい?」
「今見たって言ってるでしょ!!」
涙を拭きながらはエースにあたり続ける。
ヘタリと座り込んだを見てエースは笑う。
何もここまで怖がる事はねぇだろ、
いつもの気ままさはどうしたんだい?
は座り込んだままだ。
「なぁ、」
「何!!」
「行くぜ」
「嫌っ!!」
ハッキリと自己主張したは顔を背ける。
エースは思う、心底だ。この我侭娘。
そんな時にふと過ぎった不純な考え―――――
エースはの背後に回りこんだ。
そりゃいいがなぁ、
こんな人気もねぇ場所で俺と二人っきりってのもある種怖い話だぜ。
ニコリと笑ったエースはの肩を抱いた。
「べっ・・・別にエースは怖くないもん」
「そりゃ結構」
これじゃエースを怖がってるようなものじゃない。
は自分の発言を悔いる。
抱かれた肩はエースに近い上に、
エースの言う通りこんな場所で二人きりという状態は確かに安全ではない。
「ねぇエース・・・・」
「何だ?」
耳側でそう答えるエースの声、はエースを見る事が出来ない。
ちくしょう嵌めたわねエース。
そう思うが今の状態を考えれば明らかにの方が不利だ。
「・・・・・背負って」
「何?」
「立てないから背負ってよ・・・・・」
バツの悪そうにそう言ったを見たエースは考える。
右のエースは言う、別にの言い分を無理に通す事はねぇ。
不純な考えだ、左のエースが口を挟む。
「・・・・・・俺はどっちでも構わねぇんだが・・・」
ふと視線を上げれば水滴のついたの睫毛が不安げに揺れている。
無理強いは出来ねぇなこりゃあ、エースはを抱きかかえた。
「おっ?おいあの影何だ?」
「やめてってエース!!」
を抱き上げたまま歩き出したエースは
相変わらずをからかい続けていた。
はでエースに抱き上げられているにも関わらず
それが当たり前のような態度で(無論恥ずかしがる事もなく)
偉そうに指示を出す。
そんなにエースは尚更ちょっかいを出したくなり今に至る。
「もう早くみんなのトコに行ってよ!!」
「なあ」
「何!?」
墓場から出る気ないのエース!?
そう怒鳴ったにエースは何の前触れもなく口付ける。
これ、手間賃な、。
そう言うエースには尚更怒るのだがエースはまるで動じない。
「馬鹿」
「ちっと疲れたな、なあここらで休憩でも・・・・」
「働け!!」
手間賃出したでしょあたしは!!
はそう言いエースを見上げる。
ガス欠、平然とそう言いきったエースに
集合地点まで連れて行ってもらうのは至難の業で、
そこのつくまでが何度キスする事を余儀なくされたのかは、エースのみぞ知る。
再UP
エースver。
何故だろう…今よりも生き生きとしている…!
2003/11/19