自分に嘘を吐くのが得意なあなた

「はぁあああ？？？」
「寒い」
「何でお前が来てんだよー？」
「お前たちが協力を要請したんだろう」
「いやいや、ここはでしょ。どう考えたってそうでしょ。
　尾形お前、空気読めよ！」
「こんなところにあいつを投入して堪るか」

遥々、北欧の山奥まで出向いているわけで、
辺り一面は森、そして雪。
指定された場所が余りに辺鄙な場所だった為、
公共の交通機関は全滅。

ポツリポツリと存在する集落の住人が運転する
トラックに乗せてもらいここまで来た。

「目標は」
「あっちだ」

わざわざこんな辺鄙な所まで来たというのに、
どんな言われ方だと辟易しながら作戦内容の確認をする。

雪深いこんな奥地にでも人は生きる。
人目が少なければ少ない程、悪意は一気に増殖するわけで、
よからぬ施設を秘密裏に作り運営するには格好の土地だともいえる。

半年ほど前から、突撃部隊が
大きなヤマを抱えているという話を聞いてはいたが、
まさかそれに参加する羽目になるとは思わなかった。

丁度、との関係が(いや、関係と呼べるほど、
それは育ってさえいなかったのだが)変化し始めた辺りだ。

何故かは分からないが、は身を引いた。
追った例もない為、そのままにしてはいたが、
どういうつもりなのかがまったく分からず、
多少は気にかかっていたのだ。

そんな折、珍しくも二つの部隊から別々の協力要請を頂戴した。

「もう、どこ見ても野郎野郎、野郎ばっかかここは！」
「お前の部隊にゃ、野郎しかいないだろ」
「だから！俺は！お前じゃなくて！」
「あいつにゃ荷が重い」
「ここに足止め三ヵ月だぞ」
「俺の部下をそういう目で見るなよ」
「お前がそれを言うかね」

呆れたようにそう言うキロランケをよそに、
目標が見える場所へと向かう。
この古城は小高い丘の上に建っており、眼下を見渡すには最適だ。
只、石造りの為、果て無く冷えるだけで他に問題は無い。

反対側の崖の中腹に目標は存在する。
身を隠した某組織のカリスマ的指導者。
穴倉に隠れ息を潜める生活だが、
一日の内、20分だけ日の元に姿を現す。

「さっさと片づけて撤収するぞ」

ここは寒すぎると呟いた尾形は、持参したライフルを取り出した。

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俺は帰ると言う尾形を、無理矢理に引き留めたキロランケは、
速攻で古城を後にし、協力者たちのいる集落へ向かった。
山間部にあるその村は我々の組織と協力関係にある。

明日の昼過ぎに迎えのヘリが来るという話になり、
尾形も嫌々ながらそこに一泊する事にした。
(というか、こんな山間部なのだ。どう足掻こうと自力では帰れない)

村の人々は手厚い歓迎をしてくれたわけで、
突撃部隊の面々はどんどんと酒を煽っていく。

「お前んとこはいいよなぁ、尾形」
「そうでもない」
「はっ？お前、何言ってんの？俺なんかこれだぜ？
　お前の隣にゃがいるだろうが、
　俺の隣はよく見て見ろ、谷垣だ」
「よぉ」
「ガタガタ言ってんじゃねェ」

大分酔いの回ったキロランケと谷垣が、
今まさに雁首を揃えて絡んでくる。
辟易とした尾形は無視を決め込むが、
酔っ払い達はそう簡単に追い払えない。

「随分、ご執心だな」
「何が」
「重荷なんて、聞いた例がないぞ」
「事実だからな」
「まあ、だったらを寄越さなくて正解だ。
　うちの分隊長は完全にそういう狙いだったからな」

酒に酔っても真面目な谷垣が、
至極真面目にそんな事を言うもので、思わず笑った。

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だからといって、それが本心だったとは思えない。
をここへ派遣しなかった理由は、果たして何が妥当なのか。

その翌日、迎えのヘリに飛び乗り北欧を後にした尾形は、
その足で本部へと戻る。

は戻っておらず、特に何の連絡もなかった。

何となく続いている、
先輩尾形社会人シリーズ(過去篇)の尾形verです
このシリーズの目的がよく分からないのですが
とりあえずキロランケとオマケで谷垣を出してみました
キロランケのキャラはこれでいいのか
突撃部隊です

2017/11/15

NEO HIMEISM

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